第6話 ギルド登録は、……ああ、テンプレですね。

帰り道も「お急ぎ便」であっという間。

ようやく大きな街の前に到着した私たちは、門のところで検問の列に並んでいた。


「へぇ~、すごい高い塀ですね。塀だけに!」

「……リン、意味わかんない」

「……もうツッコむ元気もないのじゃ」


二人とも、なんだか魂が抜けたような顔をしてる。異世界の人は体力が無いのかな? 忍者を目指す私としては、ちょっと心配になっちゃう。


「そういえば、リンって普通に歩けるんだね」

「え?」

「ほら、有り余るパワーで地面に穴を開けながら歩くのかと思ってたから」


ステラさん、失礼だなぁ!

いくら私でも、そんな漫画みたいなこと……あ、さっきのクレーターのことは忘れてください。


「いやいや、いくらなんでもそんな非常識なことはないですよ。ほら、コップだって普通に持てるじゃないですか(ちょっとだけ指の跡がつくけど)」


そんなこんなで、私たちは街の中にある「冒険者ギルド」にやってきた。

酒場みたいな賑やかな場所で、受付には綺麗なミリアさんというお姉さんがいる。


「ミリアさん、依頼達成したよ。はい、七色草」

「はい、受け取りました。……って、え!? もう戻られたんですか!? まだ半日も経ってませんよ?」


ミリアさんが目を丸くしているけど、ステラさんは遠い目をしながら「まあ、ね……」と誤魔化した。

そして、話題は私のことに。


「この娘の登録と、パーティー加入の手続きをお願いできる?」

「かしこまりました。新人さんですね。……えっと、そちらでティアさんとステラさんがコソコソ話してますけど?」


私は聞き耳を立ててみた。猫耳、性能いいんだよね。


『ティア、なんじゃ結局面倒見るのか?』

『放っておけないでしょ。あんな歩く核弾頭みたいな娘……』


核弾頭? 何それ、美味しそう。

私が首を傾げていると、ステラさんが真剣な顔で私に向き直った。


「いい、リン? あんまりギルドの中で力を出さないでね? ほら、そこに握力計があるけど、絶対に全力で握っちゃダメよ? 分かった?」

フリですね、それってフリですよね。やっちゃっていいですんか?

「フリじゃないからね」

真面目な顔で言われました。ちょっと怖いです、ステラさん

「分かってますって。ステラさんは心配性だなぁ。力加減くらい、ちゃんとできますよ(たぶん!)」


私は受付に置かれた、ステータス測定用の綺麗な水晶玉に手を置いた。

「ここに手を置いて、魔力を流すイメージをしてね」と言われたので、私は「忍者っぽく……ニンニン」と念じてみた。


すると。


「え、これって大丈夫なんですか?」


水晶が、見たこともないような禍々しい、真っ黒い渦が、そして眩しい光を放ち始めた。

シュリシュリ……と、嫌な音が響いたかと思うと。


――パリンッ!


「あ。割れちゃった、ノアの〜これって、もしかしてテンプレですか〜?」

「テンプレって分かりませんが。それよりもというか、リンさんのステータスが……」


ミリアさんの顔が真っ青になっている。

吐き出された羊皮紙には、信じられない文字が並んでいた。


> 名前:リン

> 種族:猫獣人(転生者)←隠蔽

> 職業:忍者(?)←希望

> 【力】 :測定不能

> 【素早さ】:限界突破

> 【知力】 :コミュエラー……(判定不能・人の話を聞かない)

> スキル:【素振り】【連続素振り】


「……ミリアさん、なんて書いてあるんですか? 」

「リン、あなた……『知力』のところがエラーになってるわよ……」


ステラさんがこめかみを押さえてよろけている。

え、エラー? やっぱり、私の知能が「天才」すぎて、水晶が追いつかなかったのかな!


「あまり、人の話聞かなさそうだっもんね、あんた」

ええ?ひどいですよ、ちゃんと聞いてますよ。左の耳で聞いて右の耳へ流れてるだけで。

「私! 忍者への道も近いですね!」

「なんでよ!むしろ、遠ざかってるわよ。って言うか、忍者って何?」

そんなに大声で話すとけつ上がりますよ。ステラさん。

「誰のせい?誰の?」

「あ、声に出てました?」

「ええ、思いっきり」

あははは


頭をかいて誤魔化そうとする私の横で、ティアさんが「……これは、わしのポーションのせいだけではない気がするのう……」と、珍しく冷や汗を流していた。


いや、多分50%くらいはティアさんも絡んでると思う。

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ネコミミ少女の勘違い異世界珍道中 maruki @akira168

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