第3話 地面が割れた?、……え、私のせい?

自己紹介って、まずは自分から名乗るのが礼儀ですよね。


「猫耳で超絶美少女になった蒼凛(あおいりん)です! リンって呼んでいいですよ。ところでこれ(耳)、いつ戻るんですか?」


自撮り映え間違いなしの自分に見惚れながら、私はとりあえず自己紹介をした。


「ティアじゃ。錬金術師をしておる。……はて、元に戻る時間か? 一時間か、一日か、はたまた一生か」

「要するに、自分でも分かってないのよね。私はステラよ。見ての通りエルフよ」


え?一生猫耳!? それはそれで学校で目立っちゃうかな〜・・・あ、でも可愛いからいいか。って、変える方法もわからないのに

呆れた顔のステラさんは、本当に耳が長くて、お胸が信じられないくらい大きい。これが本物のエルフさんかぁ。そのお胸様に埋まってみたい。


は!思わず、お兄ちゃんが乗り移ってしまった。


・・・いや、私も好きだけど、だって柔らかいものって気持ちいいよね。

そんなことを考えていたら。


「おお、そうじゃ。これで見てみるか?」


ティアさんが取り出したのは、いかにも魔法道具って感じの水晶玉。

私の種族を確認できるらしい。


「ふむ……種族猫獣人(?)。……ん? なんじゃこのステータスは。素早さが……計測不能?腕力もじゃな。」


計測不能? ああ、ワープする時に言ってた「限界突破」ってやつかな。

確かに、なんだか今なら音速くらいで走れそうな気がする。素早さは忍者の基本だよね、もしかして分身の術とかできちゃったり?忍者に一歩近づい来ましたね!多分

そんな話をのんびりしていると……。


「ぐるるるる……ッ」


茂みの奥から、低く唸るような声。

大きな、銀色の毛並みのワンちゃんたちがゾロゾロと現れた。


「しまった、フォレストウルフだわ!」

「え? 可愛いワンちゃんじゃないですか。お腹空いてるのかな?」

「リン、これって危険な魔獣だから! あああっ、いつの間にか囲まれてる!」


ステラさんが弓を構えて焦ってるけど、躾のなってないワンちゃんには教育が必要だ。

私は中学の剣道部で、挨拶と礼儀だけはしっかり叩き込まれたからね。


「そですか、そですね。言うことを聞かない子にはお仕置きが必要ですね。ちょっと待ってくださいね」


私は背負っていた細長い袋から、愛用の竹刀を取り出した。

あ、いけない。鍔(つば)をはめないと。


「えーっと、こうして、と」


緩んでいた鍔を固定するために、竹刀の尻を地面に軽く「トントン」と打ち付けた。

自分では、スマホの画面をタップするくらいの、ほんの軽い力加減のつもり。


――ドォォォォォン!!!


「トントントンっと。よし、準備オッケーです!」

「…………」

「ティア? ステラさん? どうしたんですか、二人とも」


なんだか二人が、石みたいに固まっている。

というか、さっきまで私を囲んでいたはずのワンちゃんたちが、一匹もいない。

遠くの方で、「キャン!」という情けない鳴き声が、風に乗って聞こえてきた。


「えっとね、リン……ウルフ、みんな逃げちゃったわよ」

「へ? なんでです? 私、まだ何もしてないですよ?」

「リン、あなたの足元見て」


ステラさんに指を差され、私は自分の足元を見下ろした。


「わっ! なんですかこれ!? 地震!?」


私の足元を中心に、地面がバキバキに蜘蛛の巣状にひび割れ、巨大なクレーターができてる。

え?隕石でも落ちた?。でも、空は、綺麗な青空。


「リン、あなた……その刀、模擬刀?で何を……」

「あ、これ竹刀って言うんですよ。竹でできてるんです。それに鍔(つば)をつけて留めただけですけど? トントンって」

「「…………(トントンであの威力!?)のじゃ?」」


ティアさんが口をポカンとさせてる。

え、もしかして、この世界って地面が脆(もろ)いのかな?

先生から『毎日素振りは3千回はできないとな。』と言われたので、一生懸命やったんだよ。三千回。最初は時間かかったけど、今では10分でできるようになったし。そのおかげかな?先生ありがとう『三百回でよかったんだけどな』

にの腕はぷにぷにだけど。


「リン、あなた……自分の力を自覚した方がいいわね……」


ステラさんの引き攣った笑顔を見ながら、私は「異世界は確定しちゃったな」と、他人事のように思うのだった。ハンバーグ食べたかった。

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