当たりに近いハズレ

「突拍子もない話だが」と保険をかけ木梨澄男は話し始める。「犯人は夢遊病の可能性がある」それにはさすがかに我らもざわついた。木梨は話し続ける。「根拠という根拠はない」「七割以上が私の妄想だ」と前置きする。「まず犯人は夢遊病時に犯行を行いそしてあの猟奇的な殺人を完了させた」皆黙って聞いている。「一つ目は手足を切るには相当な時間が掛かるはずだ」「しかし推測だと犯人は二時ごろ始めた」「何故もっと早く行わなかったのか、人通りは夜になると全くないと言える」「それにもかかわらず犯人は遅くに始めた、そして午前の5時半頃に終わらせた」「二つ目、死体は顔はぐちゃぐちゃにされていたが効率的に潰されていた感じでは無く雑に刃を振るった様な潰され方をしていた」「そしてバラバラにしたのも隠滅しやすくするためでは無く、奴にとっての「飾る」という欲求を満たすためだろう」「最後の三つ目は正気の人間があんな酷いことが出来るはずがないという九割私の願望だな」そこに先輩は君の悪い笑顔を作りながら「案外当たりに近いハズレかもしれないな」とふざけて言ったが笑うものなど一人も居なかった。いや、笑えるものが一人も居なかったのだ。

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血濡れる @tokumeitokage

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