マレボル第四濠『インフェルノ・ハート』編

第14話 しゃべる扉

タタタタタッと走る音が響く

その音はあるところで止まった


「しくじった

 まさかこんな深手を負うなんて」


(……)


「何をだまっている

 扉、私はまだ生きてるぞ!」


扉の中央には人の顔があしらわれており

その目がゆっくりと開いた


上級魔法官は、その前で崩れ落ちた

走りすぎたのか傷のせいなのかはわからない


ポタポタポタッ……ポタッ……ポタポタタッと

血が床に落ちる音が不気味に響く


「なぜだ……なぜ聖母の加護が効かないのだ

 傷が癒えない……これが禁忌魔法の代償か?」


扉の中央にあしらわれた人の顔は黙ったままだった


「俺は、まだ生きている

 だから致命傷じゃない」


扉の目は焦点をあわせず短くしゃべった


「一切の望みを捨て蛇と化せ」


「イヤだ……それだけは……今までの努力の果てが

 これなのか! 到底受け入れられない」


ボンッと乾いた音がした

そこに在るのは、もう人ではない

大きな蛇が扉の前に横たわっていた


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