第5話 人気パンの予約争奪戦

「定期報告」


「A班*レディ2Go」

「B班*レディ2Go」


「D班*レディ2Go」


「んっ、C班は?」


「奴ら土壇場で他クラスへ寝返りました」


(……)


「アプリシークエンスに入ります」


「「「メニューオープン

  ターゲットロックオン

  いつでも行けますぞい!」」」


「カウント開始30…29…28……」


「ところで“1”でタップすんの?

 それともゼロでタップすんの?

 この前もそれでもめて全滅したじゃん

 C班が寝返ったのもさ

 愛想つかされたからでしょ?」


「でもさあどうしてウチらってダメなんだろうね

 彼らと私たちの差ってそこまで決定的なの?

 C班はハンターとしての嗅覚あったよね

 奴らが見えてて私たちが見落としていることってなに?

 みんなこの質問に答えられる」


(……)


「いつもやられっぱで良いのかって聞いてんだよ!

 みんなそれでホントにいいの!!」



このイベントに不断野が駆り出されて

何度この会話が繰り返されたのだろうか

このクラスで人気パンをゲットできたのは

今まで誰もいない


お陰で他クラスでは負け犬呼ばわりの状態だ



「もしかして不断野くんのせいじゃない?」


(なぁーんでそうなるの!)


不断野は声のする方向を向いた


「だってやる気なさそうなんだもん」


「最大限協力してるし!」


「だってタップの準備してないじゃん」


「いや、人それぞれでしょ?」


「いやいや、スマホを机においてだね

 こう指をだね……あっタップしちゃった」


「ばか者! 連打禁止協定に違反するからお前は離脱しろ!」


クラス長は頭を抱えて在庫数を更新した


「もうカウント10を切ってから

 どうしていつも……って待って、みんな!

 カウントキャンセル、全員タップだタップしろ

 これは訓練ではない、クラス委員権限を発動する

 総員、タップしまくれ!!」



今回、僕らのクラスは無双し伝説となった


「藤野、あのときお前が不断野をディすらなければ

 今回の成果はなかったぞ

 誇っていいんだ

 皆に代わって感謝だ、ありがとう」


「クラス長、光栄です」


「では人気パンを皆で味わおう」


一人ずつ人気パンが配られた


「んっ? 俺のは」


「不断野君はまだ何もしてないじゃん

 一つ、買い損ねたんだよね

 ゴメン」


「えっ? なんで俺の分がないの」


地味子が恥ずかしそうに不断野に近寄ってきた


「不断野君、半分あげるよ」


「ありがとう……食べかけじゃない方が良いな」


「こっち側の方がおいしかったよ」


「いや、反対側の方お願いって……そっちも食べたら」


(私、地味子は不断野君と間接キッス…かも……だな)


「じゃあ地味子、俺にちぎらせて」


(地味子……こいつ結局、全部食ってる

 食い気、専門職だな)



注文予約は12時からと書かれていたが

先生予約枠という隠れコマンドがあることは

生徒に周知されていなかった


それに偶然気づいた不断野のクラスは

今回勝利を収めることができたのだ


次回以降、他クラスならびに先生たちも

人気パン争奪に向けた戦いが繰り広げられたことは

想像に難くない



不断野は思った

「昼過ぎに登校しようかな」


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る