第4話 今起きている異変 ~参~
侵入している異世界人の捜査が難航する中、
ヒロセは妙な話を聞いて基地に戻ってきた。
「人が消える?」
報告を聞いたミズノは思わず怪訝な顔になってしまう。
「えぇ。
路上パフォーマーのパフォーマンスという話ですが。
手品と称して観客を一人選んで、
周囲に観衆がいる目の前でその客を消すそうです。
大きな布で目隠しして、
三つ数えたら布の中の人が消えていた、と。
そのまま客が戻ってこず、パフォーマンスは終了。
パフォーマーも行方をくらまして、
消えた観客は行方知れずになるという話です」
にわかに信じがたい話だった。
だが、ヒロセの足の捜査は誰しもが一目を置くほどの精度だ。
ミズノは身体をヒロセに向けて続きを促す。
「聞いた話を詳しく確認しましたが、
この三日で二人消えていました。
二班に監視カメラなどからその二人の行方を確認してもらいましたが、
全くたどれません。
二人の身元は割れたので詳しく調べましたが、
彼らのSNSの更新は止まってて。
携帯など通信機器のGPSとか電波反応も、
目撃現場で途絶えています。
パフォーマーの目撃証言は全て、
先日の異世界人の侵入があった山のそばの町でした。
異世界人と関係があるかもしれません」
「ヒロセ。
その路上パフォーマーについて、
詳しく調べてみよう。
キャップには俺が報告しておくから、
二班にも何人か派遣してもらって調べてくれ」
ヒロセは、了解と敬礼をして駆け去った。
ミズノはすぐにキャップへ報告した。
「同様の相談が警察にも来ているんですか?」
無線越しにキャップが肯定する。
「警察からの報告はついさっき届いています。
ヒロセ君の捜査は、さすがですね。
私が今からS県警に詳細を確認に向かうので、
ミズノ君も一緒に来てください。
二班には私から指示します」
ミズノはキャップと共に、急ぎS県警に向かった。
「捜索願が三件あります。
三件とも妙な路上パフォーマーに消された、
と言うものでした。
この数日で連続です。
先日の山中の件と関係があるかも、
と思い報告させていただきました。
これが、
捜索願と対象の情報です」
「拝見します」
キャップはスーツ姿の警官から紙の資料を受け取った。
ミズノが代わりに、
警官に封筒に入った資料を手渡す。
「こちらでも同様の話を聞き付けて、
調べていたところです。
これがこちらで調べた資料です。
この捜査にご協力いただけますか?」
「えぇ。
もちろんですよ。
餅は餅屋。
異世界人には防衛軍です。
頼りにさせていただきますよ」
警官は苦笑いしながら頭をかいた。
キャップは警官に向かって言う。
「つきましては、潜入捜査を実行したく。
例の山の近くの町に捜査官を出しますので、
パフォーマーの目撃があれば我々にも共有をお願いします。
可能なら観客として潜入。
誰かが消える前に服などへ発信器を付けるか、
特捜隊の隊員が選ばれて消されるのが理想的です」
「潜入の協力はやぶさかではありませんが、
かなり危険ですよ……」
警官は驚きを隠せない。
だが、ミズノは苦笑いしながら追加する。
「うちにはその手の『達人』がいますから」
「あぁ。
例の『不死身の男』ですか」
警官は納得して各所への手配を進めた。
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