第3話 今起きている異変 ~弐~
山中で発見された車はレンタカーだった。
借りた人物は行方不明。
同乗していたとおぼしき男女五人の身元が割れたが、
行方知れずだった。
「報告します。
彼らのSNSを調べたところ、
やはり集団自殺を図ったようです。
六人にはSNS以外での接点はありません。
練炭などは各々で持ち寄っていました。
購入したのは各自の近所のホームセンターや、
通販サイトです」
二班班長、
ハマダは黒ぶちメガネを持ち上げて報告した。
二班はネットや各所の通信機にアクセス権をもつ、
情報処理のエキスパート。
二班リーダーのハマダは、
大企業のホワイトハッカーとして有名だった。
彼はその腕を買われて、特捜隊にスカウトされた。
今は彼の下に十三人のハッカーたちがおり、
情報を集めて解析、捜査をする。
また、二班には科学捜査員も十人おり、
科学捜査もこなす。
一番人数の多い班だ。
「歪みの検知から二十時間が過ぎました。
異世界人は六人の遺体を何らかしらの方法で乗っ取り、
町の人混みに紛れた可能性が高いと思われます。
その際に、
顔や体型を元のものから変えていることも視野にいれて
捜査を進めましょう」
ミズノがそう言いながら、
苦い顔で資料を見つめる。
異世界人はこちらに侵入後、
その姿をこちらの人間のものに変えるか、
誰かを襲ってその身体を乗っ取り潜伏するケースが多い。
今回は恐らく、
車中の六人の遺体を乗っ取り、
別人の姿に作り替えて潜伏したと思われた。
「ヒロセです。
現場を確認しましたが、
目立ったものは足跡くらいでした。
足跡をたどりましたが、
カメラの設置がない古い国道で途切れています。
道端に店や家屋も見当たりませんでした。
今はその国道から出られる町や集落に絞って、
監視カメラを二班に確認してもらっている最中です」
「あ、それ終わりましたよ。
後でヒロセさんにも詳しい結果を送りますが、
簡単に報告すると映像も何もカメラからは見つかりませんでした。
恐らく、
意識してそう言う映像に姿が残らないように行動しているものかと。
この異世界人たちはこちらの生活や技術について、
しっかりとした情報をもっているかと」
異世界人は異邦人だ。
本来はこの世界の常識や文化に対して全くの無知。
第二次次元大戦時の異世界人は侵入後、
文化や常識の違い、
道具や機器の知識のなさから目立っていた。
各国の軍はそれを察知し、
早期に発見、対応できていた。
だが、第二次次元大戦の終盤で、
それらの情報が複数の異世界にも伝わってしまった。
それ以降、
彼らは先に元の世界でこちらの常識や文化学び、
順応、適応。
用意をしてからこちらに侵入、
潜伏するケースが増えている。
おかげで近年は異世界人に侵入されると、
見つけ出すのが大変困難になっている。
「彼らはこちらへ迷い混んだのではなく、
意図的に侵入した、と断定して良いかと。
ただ、その目的は不明です」
ハマダはそう言って報告を終えた。
「キャップ、
現場の周囲の交通規制はもう意味がないかと思われます。
ここからは警察にも協力してもらって、
近隣をくまなく捜査しなければ」
ミズノはそう提案し、
資料を持って立ち上がる。
ミズノが率いる一班は現場に突撃する実行部隊。
ただ、人数がリーダーの彼を含めて五人しかいない。
そのため、人数が必要な大規模捜索になる場合、
各地の警察に協力を依頼する。
「ヒロセ、お前の出番だ。
その足で国道付近の町や集落を探してくれ。
二班はヒロセを全面的にバックアップしろ。
三班は戦闘機にて、空から捜索を開始。
各種センサーをフル活用して、わずかでも気になることがあれば報告してくれ。
キャップは、警察に渡りをつけていただけますか?」
キャップは頷いて、報告会を解散した。
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