第8話

鈴は叫んだ。

「縁結びの神様!わたしたちを見守ってーーー!!!」


「・・・はい?」

その言葉は、意外すぎる少女の願いのような言葉だった。いや、いやいやいや、縁結びの神様?この人が?この、異様なオーラを纏う異質な存在が??

しかし、鈴の顔を見ると真剣そのもの。冗談を言っているようにはみえない。

神さま発言のときもそう、栞は、あの時と同じ目だ。と思った。

鈴の声は震えていたが、その奥に小さな決意の火が灯っていた。

そして風は、その炎を大事に育てている。


「・・・きひ。きひひひひひひひ!!」

しかしその男は、心の底から嬉しそうに笑い出すと。いきなり歌い出した。

「きーいちゃったーきいちゃったー!

かーみさまのおーねがいー!

いーいのかな?いいのかなー?

なーぎくんがかなえましょー!」


栞は、ただただ混乱した。いきなり子供のような替え歌を歌う目の前の奇妙な男は、なんなんだと。

意味がわかるのに、全くわからない歌。純粋な叶えてやろうという歌詞なのに、脳が理解するのを拒否している。

それと同時に、栞は察知する。

明るい歌、この男はどこまでも純真なんだ。純粋な幼児のような心が、この男にあると。

その無邪気さが、逆に底知れない恐怖を呼び起こした。



栞は思った。


――いやな予感がする。風の向きが、真逆に吹いている気がした。

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