本物

「・・・様、話聞いていますか?」


そう言われ僕はハッとする。


「すみません、聞いていませんでした」


メリーダはため息をつく。


「はぁー。あんまり落ち込まないでください」


と、言われてもあんなことがわかって元気は出ない。




あの後王様は何度も本物かと聞いてきた。


そんなこと言われても僕にはわからない。


が、メリーダは本物だと言い切ってくれた。(嬉しくないけど)


それに納得したのか興味がなくなったのかわからないが


「あとは二人に任せるよ」


とだけ言い残して部屋を出て行った。




別の部屋に案内され、これからのことを説明されていたところだ。


「いいですか?もう一度説明しますね


 あなたにはこれから旅に出てもらい最終的に鬼族を倒してもらいます」


僕はうなずく。


「まずは前回仲間になり、この町から近い犬族に会いに行きましょう。


 犬族とは交流があり、定期便も出ていますのでそちらを使いましょう」


確かに城に入るまでに人以外の種族も多く見かけた。あれが獣人というのだろう。


しかし犬族?の場所まで歩きで行かなくていいことに安心する。


「でも、僕が行って簡単に仲間になってくれますか?」


そう、これが心配だった。


「それは大丈夫。私がついていきますので」


僕は驚いてメリーダを見る。


彼女は笑っていた。


「犬族には私から説明しますので安心してください」


僕はホッとした。


彼女は頼りになりそうだし、ひとりではないから。


しかし僕は聞きたいことがあった。


「メリーダさん。なぜ僕を桃太郎だと思うんですか?」


「私は鑑定士ですから。


 その人物が本物や嘘を言ってないかなどいろいろわかります。


 そしてあなたの持っているその刀と鉄扇は、間違いなく以前桃太郎様がお使いになられていたものです。


 その二つは女神様から受け取られたんですよね?


 それがあなたが本物というなによりの証拠です」


「そんなことまでわかるんですね」


「えぇ、鑑定士ですから」


メリーダは誇らしげに言う。


「あとこの世界で桃太郎のことはみんな知っているんですか?」


「少なくともこの国では世界を救った英雄です」


「そんな立派な存在なんですね」


まさか桃太郎の名前がこんなに重いなんて。


女神の個人的な推し活程度かと思っていたのに・・・。


このまま話して桃太郎の英雄伝でも聞かされたらたまったもんじゃないと思い、僕は別の話題を振ってみた。


「そういえば初めに会いに行く犬族はどんな人なんですか?」


「そうですね。嘘が大嫌いな真っ直ぐな方ですね。


 以前の桃太郎様の仲間で剣を教えたとも聞いたことがあります」


以前の仲間?


「その人はまだ生きているんですか?」


僕は驚いて早口になる。


「種族で異なりますが、獣人はおおよそ300年~500年ほど生きるので、少なくとも犬族の方は元気ですよ。むしろ鍛錬を重ねて以前より強いくらいです。それに族長にもなられましたし」


これは嬉しい情報だ。


つまり以前の戦いも経験しているとても強い仲間ということだ。


僕が戦うことはあまりない可能性がある・・・はず。


そう考えるとすこしだけ気が楽になった。




一通り準備が終わったところでメリーダが気づく


「そういえば桃太郎様は、この世界のことについてまだよく知らないですよね?」


「知っていると言ったら嘘になりますね」


「なんだか回りくどい言い方ですね。


これから旅に出るのに何も知らなかったら困りますから、この世界のことをお話します」

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2026年1月16日 21:00
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