謁見

―あぁ眩しい


僕は目を覚ます。が、そこには知らない天井どころか青空だった。


そういえば野宿をしたことを思い出す。


天気を全く考えていなかったが、晴れていてよかった。雨だったら野宿どころではない。


早々に起き、貰った食料で朝食を済ませ出発の準備をする。


今日こそ城に到着しなくてはと意気込み歩き始める。




おそらく半日ほど歩いたところで遠くに城が見えてきた。


とりあえず町の入口を探す。


少し歩くと二人の門番らしき人を見つけたので近づいてみる。


門番が傍らに剣を携えているのを見て緊張する。


おそるおそる声をかける。


「あの・・・」


門番は鋭い目つきで睨んでくる。


「お前どこからきた?


 身分証と通行証を出せ」


「いや、あの・・・」


威圧感がすごく委縮してうまく答えられない。


が、うまく答えられたとしても身分証も通行証も持っていないことに気づく。


荷物を探すふりをしてみたところで、手紙のことを思い出して門番に見せてみた。


門番はじっくり手紙を読み終えるとこちらを睨む。


より疑われたのではと思い、見せたことを後悔したが後の祭りだ。


「ここで少し待っていろ」


予想外の言葉にびっくりしたと同時に捕まらないことに安堵した。




一向に門番が帰ってこない。あまりに時間の進みが遅く感じこの場から逃げたかった。


しかし、もう一人門番がいるので逃げることもできない。むしろ今逃げたら怪しすぎる。


やっと先ほどの門番が帰ってきた。


「今から城に案内する。


 王様が会いたいと仰っているから事情を直接説明してくれ」


「・・・はい、わかりました」


僕は少し震えた声で答え、後ろをついていく。


王様に会うのが目的だからありがたいのだが、突然すぎて心の準備ができていない。


そんな偉い人と会うなんて初めてだし、もし失礼な事したら死刑になったりして・・・


嫌な想像が浮かんできて怖くなる。




城に到着後、部屋に通される。


見たこともない豪華な装飾が施されており、学校の体育館並みの広さがあった。


これが謁見の間というところか?


広すぎだろ・・・


僕はキョロキョロと部屋中を見渡す。


装飾品ばかりに目がいっていたが、ふと気づく。


部屋にいる近衛兵たちが全員僕を見ていることを・・・


おもわず目を逸らし、下を向く。


僕は再度不安になる。


(よくよく考えたら手紙にはこの人桃太郎ですなんて意味の分からないこと書いてあるわけで、そんな怪しいやつと王様が喜んで会うか?むしろ捕まえようとするのではないか?それなら今から始まるのは魔女裁判ではないのか?だとしてもここまで来た以上もう逃げられない・・・)


今、僕はこれから死ぬかもしれない現実に直面している・・・


鼓動が早くなり、呼吸も乱れ、身体は熱いはずなのに寒い。


その時、衛兵が叫ぶ。


「王様に敬礼」


僕はハッとして前を向く。


すでに王様が椅子に座っている。


僕は王様が想像より若いことに驚いた。

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