100年後の桃太郎
なにが趣向を凝らした演出だ。
大きな桃から出てきたようにするなんて・・・。
ほらみろ老夫婦も困惑しているじゃないか。
この空気どうしたらいいんだよ。
老夫婦は何も話さない僕に少し戸惑っている。
これはまずいと思い、とりあえず質問してみる。
「僕はここから出てきたんですか?」
割れている桃を指さす。
「そうだ。今日川に行った時に流れてきたこの桃を食べようとしたら突然割れて、煙が出てきたんだ。
そして気づくとあんたが目の前にいたんだよ」
やはり桃から出てきたのは間違いなさそうだ・・・。
てか川を流れてきた得体のしれない桃食おうとするなよ。
「ところであんた名前はあんのか?
なければつけてやるぞ」
つけてやるぞと言っているが確実にアレじゃないのか。しかし好奇心が勝って聞いてみた。
「つけてくれるとしたらなんて名前ですか?」
「そうだな・・・・・・・」
おじいさんは深く考え込む。
その姿を見て期待する。
(そんなに考え込むなんて、もしかして違う名前が出てくるのか)
「・・・決めた、桃から生まれたから桃太郎だ」
あんなに深く考えていたのに、結局その名前かと僕は落胆し苦笑いを浮かべた。
しかし少し話してみて、悪い人たちではなさそうで安心した。
ここでおじいさんが気になることを言う。
「しかしあの話が本当だったとは驚いた。
嘘だと思っていたが、実際に起きているから信じるしかない」
まるで前にも同じことがあったようなことを言った。
「あの話が本当というのは何ですか?
僕と同じような人がいるんですか?」
気になって矢継ぎ早に質問した。
するとさっきまで隣にいたおばあさんが、奥の部屋から一冊の本を持ってきた。
受け取ったおじいさんは本を開きある部分を指さす。
「約100年前、今と同じように巨大な桃から男が出てきたと書いてある。
そのことはわしの家に先祖代々伝わっているのだ」
思いがけない情報にまた頭が混乱した。
以前にも桃太郎がいた?しかも約100年前に?
ならもう鬼は倒されている?
なんの為に僕は召喚された?
わからないことだらけで混乱してきた。
わからないことを考えても仕方がないので、おじいさんにすべてを聞くことにした。
おじいさんに話を聞き、要約するとこんな感じだ。
―約100年前に桃太郎は実在した。話を聞く限り、僕と同じように召喚されたのだと思う。
桃から出てきた男がいて、暴れている鬼を倒すために旅に出た。その道中で仲間を集め、最終的に鬼を倒したらしい。ほぼ知っている話と同じだ。
しかし、異なる点がある。
①その戦いで桃太郎自身は命を落とした。
②この世界には獣人がいて桃太郎の仲間になったのも獣人らしい。
聞いた情報をまとめるとこうだ。
鬼族は倒されたとの事だが、もしかしたら復活したとか?
その辺りの説明をあの女神がしてくれればよかったのだが・・・。
そんなことを考えていると、おばあさんが近づいてきて遠慮気味に話す。
「あの・・・
今日はもう遅いので出発は明日になりますよね?
これから寝る場所を用意しますので少々お待ちください」
旅に出ること前提で話している。
なにか断る理由がないか考えるが何も出てこない。
ただ元の世界に戻れるかもわからないので、情報を集めるためにも旅に出た方がいいのでは?とも思う。
結局考えがまとまらないまま、おばあさんの準備が終わり言われるがまま横になる。
ここに来る前まで寝ていたし、ましてや知らないとこで眠れないよなぁと思っていたが、なぜかあっさりと眠ってしまった。
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