第20話 真相



 「なに、あんた」


 と、ラシエ。レイラは、笑顔。レイラも仕事の下着姿。お尻には、ペルシャ猫の尻尾をピンと立てている。


 「ラシエさんの胸飾りのあるところ、私、わかったと思う」


 「わかったって?」


 ラシエ、目を大きく、見開く。


 「簡単なこと。すぐ、見せるよ」


 余裕な態度のレイラ、胸飾りがなくなったという試着室の前に立つ。先ほど、ここでラシエが、みなに、黒瑪瑙の胸飾りを披露したのだ。


 「さあ、みんな見てて」


 レイラが、にっこりと微笑む。


 すると、レイラの胸に、黒瑪瑙の胸飾りが現れた。ラシエのしていたのと、全く同じ。


 あっと叫ぶモデルたち。

 

 「なにこれ。どういうこと?」


 ネクリも、あっけにとられている。


 ラシエは。みるみる顔が青ざめていく。


 「うふ。今、消すね」


 レイラは、足のつま先を動かす。すると、胸飾りは消えた。


 「胸飾りの正体は、これよ」


 レイラ、床の絨毯から、小さなチップを拾い上げる。


 「これは、マイクロチップ型の立体映像ホログラム投映機。ラシエさんが仕込んでおいたのね? つま先でスイッチを押して、胸飾りの映像を出したり消したりしてたのね。わかった? 胸飾りは最初からなかったってこと。立体映像ホログラムの幻だったの」


 ラシエ、わなないている。もう顔は真っ白だ。


 「ど、どうしてわかったの?」


 「うーん」


レイラは、首をひねる。


 「最初、ラシエさんが胸飾りをみんなに見せてくれた時、足をちょっと不自然に動かしてたから、なんだろうと思ったの。そして部屋に戻ってきた時も、床の方をチラチラ気にしていたよね。その視線を追ったら、これがあったの。ラシエさん、床に仕込んだチップを拾い上げるのは、さすがに不自然すぎるから、できなかったのね。証拠は置き去りのまま。ずいぶん大胆なことをするのね」


 自分に集まるモデルたちの視線。しばしわなないていたラシエだったが、


 「なにさ!」


 言い捨てると、下着姿のまま、大部屋を飛び出して行った。


 唖然とするモデルたちを、後にして。

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