第18話 モデルの魔法



 下着モデル同僚のネクリに連れられて。


 レイラは、モデル事務所の外に出た。


 ほっとする。ずいぶん久々に感じる外の空気。爽やかだ。


 いろいろ急に世界が変わって。犯罪捜査とはまた違った圧倒感を感じていたのだ。潜入捜査って息詰まるな。


 「ね、レイラ、とりあえず、ご飯食べよっか」


 無邪気なネクリ。

 

 レイラの私服を、外歩いちゃだめ、撮られたらまずいとダメ出ししたばかりだが、気にしていないようだ。外に出ると、急に子供っぽくなる。


 警察とは別世界だな、とレイラ。当たり前だけど。



 2人は、気取らない喫茶店カフェで、食事をとる。


 「レイラ、じゃあ、お買い物しよっか。心配しなくていいのよ。あなただって、そんなにおかねないでしょ。大丈夫。庶民価格だって、最先端になれるのよ。自分で自分の世界を変える。それが私たちなんだから」



 うぐぐ……



 レイラは、それなりにお洒落におかねをかけてきたつもりなんだけど。


 トップモデル事務所の子から見ると、全然なんだ。


 ネクリ、ずんずんとレイラを引っ張っていき、ショップを梯子する。


 「あ、これいい! レイラにも似合うよ」


 「ねえ! これだと、ぐっと大人のイメージになるよ!」


 心底楽しそうに服選びをするネクリ。

 

 さすがだ。


 レイラは感心する。ネクリ。プロのモデルだけあって、一本筋の通った見立てをしてくる。


 「私ね」


 ネクリが瞳をキラキラさせながら言う。


 「モデルするだけじゃなくて、ルイーザさんみたいに、デザイナー、そしてプロデューサーを目指したいの。やっぱり全部自分で作るのってやりたいじゃない」


 おお。さすがトップモデル事務所の子。フワフワしているように見えても意識が高いな。


 ん?


 今日、レイラを連れ回したのは、自分があれこれプロデュースする、練習なんだ。ま、新人だからな。先輩モデルの練習台になるのもいいだろう。


 レイラは、ネクリの見立てを参考にしながら、自分でコーデを決める。


 「おー、いいよ! 断然、かっこいい!」


 ネクリ、無邪気に褒めてくれる。お世辞じゃなさそうだ。


 うん。レイラも満更じゃない。潜入捜査なんだ。完全に、モデルになり切らなきゃ。真剣にこの仕事に取り組めば、きっと、みんないろいろ話してくれる。そこから、突破口が見つかるはずなんだ。


 それに。


 全身鏡に映る自分のコーデ。うっとりする。我ながら、女子として一段と上がったような。なるほど。世界を変える。できるんだ。


 もし……宇宙警察のみんなが見たら、なんて言うだろう。頬を染めるレイラ。


 潜入捜査の本質から逸れたところで陶然となるレイラ。18歳の乙女に、ファッション界の魔法は強く効きすぎるのであった。

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