第12話 乙女刑事の一撃


 華やかな下着ファッションショーの会場に、突如、どこからともなく現れた宇宙野盗ゴラン団。


 モデルたちに銃を突きつけ、観客に金品を要求する。


 ランウェイ通路の上で指示を出す首領ドンゴラン。自分が腕をつかみ、頭に銃を突きつけているモデルがこっちを睨んでいるのに気づいた。


 ニヤリとする。


 「よう、お嬢ちゃん、そんな怖い顔して、どうしたんだ。あ、そうか。ゴラン団のおでましに、恐怖で固まっちまった、そういうことだな。ハッハッハ。怖がらなくていいぜ。俺たちは命までは取られねえ。かねだけよこせばそれでいいんだ。安心しな」


 なかなか余裕の態度だ。レイラは冷静に観察する。自分をただのモデルだと思って、油断しきっているんだ。当然そうなるだろうけど。


 レイラ、今は完全に刑事モードだ。悪漢の登場でスイッチが入ったのだ。限界露出下着アンダーウェアの姿だが、そんなことは問題ではない。


 こいつらをどうやって始末しようか。


 思案するレイラ。人質に取ったモデルが実は刑事。ゴラン団も運の尽きということだ。


 いきなり仕掛けて倒しに行くか? でも、いろいろ気になる。それに、もうちょっと油断させてやってもいいだろう。


 つとめてモデルの女の子っぽく、レイラは訊いてみる。


 「あのー、みなさん、一体どうやってここに突然現れたんですか? それでどうやって逃げるつもりなの?」


 大胆な割に無謀無鉄砲すぎる襲撃占拠作戦。知りたくなったのだ。


 「ハハハ」


 ゴランは、高笑い。


 「神出鬼没が売りのオレたちゴラン団よ。風のように現れ、風のように消える。お宝だけを奪ってな。そうか。知りたいか。よし、お嬢ちゃんちょっくら教えてやろうじゃないか。俺たちはこのビルの地下倉庫の作業員募集を見て、応募したのよ。そして、ずっと、作業の傍ら、会場までの突入路を作ってたのよ。そういうことだ」


 得々として喋る。 


 なるほど。そうだったのか。それにしても首領ドンゴラン。大事な作戦を喋りたくて喋りたくて仕方なかった模様。犯行手口をペラペラ喋った。暗い地下でずっと作業していたんだ、誰かに自慢したくてしようがなかったのだろう。


 大それた犯行のために、なんだかものすごい努力するけど、いろいろ重要な部分がポカっと抜けてる気がする。


 「どこから現れたのかはわかったけど、それで、どうやって脱出逃走するの? 地下に作ったアジトとかトンネルとかは、即座に警察が封鎖すると思うけど」


 ついでに訊いてみた。会場占拠作戦のとりあえずの成功で、首領ドンゴランは、気をよくしている。なんでも、しゃべってくれそうだ。


 「そこよ!」


 果たして、ゴランは、ますます有頂天。


 「俺たちは、地下に、超時空移動ワープ装置を持ち込んだのよ。作業用機械に擬装してな。苦労したぜ。お宝金品を頂戴したら、人質のお嬢さん方と一緒に地下のアジトへ行く。そしてそこで人質は解放して、俺たちは超時空移動ワープ装置で、ハイ、サヨナラ、そういうことよ」


 レイラは、口をあんぐり。


 超時空移動ワープ装置か。そこに入っちゃえば、一瞬で、どこか遠くの出口に出る。行き先はわからない。警察も非常線封鎖線は張れない。一応ちゃんとした計画なんだ。でも、超時空移動ワープ装置って、超高額である。ものすごい資金と労力を投入したこの作戦だけど、赤字にならないのかしらん。電子マネーとキャッシュカードの時代。会場の観客の手持ちの財布と宝飾品類、そんなの奪っても、大した金額にならない気がするけど。


 なんだか余計な心配をするレイラ。


 しかし、首領ドンゴランの絶頂は止まらない。


 「アッハッハ」


 高笑いも最高潮。


 「どうだ! これがゴラン団よ! 宇宙で俺たちに敵なし。そういうことだ!」


 よし。わかった。こいつらの手口は全部。もう、いいだろう。


 レイラは、決心した。



 ドコッ!



 「ぎゃあっ!」


 鈍い打撲音とともに、首領ドンゴランが悲鳴を上げる。


 レイラが隙をみてゴランの腕を捻り返し、手刀で銃を叩き落としたのだ。一瞬の早業である。乙女刑事レイラの見事な体術戦闘術であった。すっかり得意になっていたゴランは隙だらけだった。何の造作もないことであった。


 手刀を喰らい痺れる腕を押さえ、飛び退るゴラン。


 「な、なんだ貴様は」


 ただの下着モデルだと思っていた女の子に、逆襲されたのだ。さすがにうろたえている。強烈なカウンター攻撃。


 「驚くのは、まだ、これからだぞ」


 レイラは素早く左のブラジャーの下から光線銃ブラスターを抜いた。

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