第5話

電話がなってる…あれからどれくらいたったのかしら。

横たわった彼のまわりを ハエがせわしく飛び回っている。


これから どうなるの?

何も考えたくない 全てを忘れてしまいたい。なにもかも全て…。


私はベランダに出る、ビューっと冷たい風が空っぽになった私を通り過ぎてゆく。そしてゆっくりと冷たい柵に掴まりながら ベランダの狭いヘリに足を並べた。


ここから 落ちて、全てを終わらせたら…


「お困りかね?」


「っ!?」


「2つ目の願いを叶えに来たよ」


「あなたは!お願い全てを忘れてしまいたい。こんなの辛すぎるわ!愛する人を2度も取られてそして、そして自分の手で………。

耐えられないこんなの…全てをわすれさせて!!」


「それが、2つ目の願いかね?」


「ええ、そうよ」


「いいだろう。その願い叶えてやろう。」


- - - - - - - - - - - - -



そうだ、そうだった、全てを思い出した。

部屋の中を見渡すと彼が血を流して横たわっていた。

影の言うバレンタインの奇跡、3つ目の願いで私は全てを思い出したのだ。

これから 、どうすればいいのだろう。


悲しみ、苦しみ、憎しみ、絶望の最中に私は取り残された。


私はベランダに出る、ビューっと強い風が空っぽになった私を通り過ぎてゆく。そしてゆっくりと冷たい柵に掴まりながら ベランダの狭いヘリに足を並べた。

ふと影が纏うあの嫌な香りが背後から微かに漂った気がした。


腕時計が0:00を知らせる音が、ピピっと小さくなる。




影はもう現れなかった。



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バレンタインの奇跡 @pon_pon_opon

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