第2話 根比べ

 バカな!"私"つまり完璧な美少女の中の美少女である私と幼馴染になり、あまつさえ初恋の男という栄誉ある存在者となった三里歩は私の恋愛的アピールに……なんの動揺もしない。学生では考えられなことだ。


「それは……あんた……めちゃ言いづらいけど。多分……いや、やめとく」


「やめないでよ!気になるだろーが!」


 私は目の前の私ほどでないが"この私"が認める美少女である枝野真希に壁ドン失敗を相談する、と


「いや、アンタの……心が保てない」


「いやいや、保てるよ、モチロン。なぜなら私は完璧な美少女の中の美少女。容姿端麗、才色兼備、文武両道、立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花、誰もが振り返らざる得ない完成された超美少女である高峰雅なのだからな!」


 決まった……フフン!


「そゆとこ、が幼馴染君の癇に障るじゃない?」


「わかったわ、へりくだればいいのだな」


 私は牡丹から芍薬そしめ百合の花へと華麗に変化して私よペイジ従僕君に


「おい、椅子になってやるよ」


 顎クイ……決まった。私の脳内では既に勝負あり……


「でさーこの前読んだデリダの本さ、やっぱり『フロイトとエクリチュールの舞台』の現前の形而上学は……」


「聞け、私が!お前に跪いてやるってんだ!」


 私は皆が見てる昼休みの教室で正々堂々四つん這いになる。男なんてカンタンちょーっと跪けばイチコロ♥️


「で、わりと『フロイトとエクリチュールの舞台』の言説ってデリダ的脱構築の本人による入門とし……雅さ、いつまで座ってるの?地べたはあんまり衛生的じゃないよ」


「私を椅子にして恋人になるまで」


 決まったー!ゴールイン!やれやれ世話が焼ける……普段"高慢な女王様"である私がこうして跪けば"逆転"した、などと思い込みホイホイとイヤらしいことばからり考え空き教室でシッポリ決め込もうなんて魂胆なんだろ?フン…がそれは私が巧妙に仕組んだ"罠"ってヤツだ!私はデカい男でも実戦稽古で組み伏せれれる。それほどの強者。三里歩…貴男など一瞬で"逆転"させられる。哀れな歩は"逆転"したなどどその気になっていたが"逆転"され返されてしまう!


「あそう、でやはりフロイトの夢判断も自由連想法も言語的で」


 ほほー。根比べねいい度胸してるじゃない。私が這いつくばってるのに涼しい顔してられる、格好付けるね、本当はもうスケベな考えで頭いっぱいなのに……モチロン私もスケベな考えで頭いっぱいだ。となればモチロン決まってるよな?


 そして、二十分間、5時間目になるまで這いつくばった。私のかわいいペイジ従僕君の顔は涼しい顔だったわ。流石ね……。根比べは今回は勝ちを譲るぞ。やれやれ……ムッツリさんめ!

 

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