第12話 言葉にならない……

大学進学を機にシンガポールから帰国した友達。


両親はシンガポール。


スープの冷めない距離に、祖父母宅(戸建て)。


1995年1月17日、早朝。


友達のおじいちゃんとおばあちゃんは二人で日課の散歩を終え、おじいちゃんは朝ごはんができるまで2階の寝室で二度寝、おばあちゃんは1階の台所で朝ごはんの支度をしていたそうです。


いつもの朝といつもの老夫婦の時間。


地震後、友達は一も二もなくスープの冷めない距離にある祖父母宅へ走り……絶句。


戸建ては潰れており、おじいちゃんは庭に座り込んでいました。


友達が駆け寄り、おじいちゃんに声をかけても、おじいちゃんは倒壊した家を見つめたまま。


友達は視覚情報で色々察していたものの、念のために、おじいちゃんに訊きました。


友達→おばあちゃんは?


おじいちゃんは、視線そのまま、ゆっくりと倒壊した家を指差しました。


友達はすぐさまおじいちゃんを避難させがてらご近所へ救援要請。


おばあちゃんは、助かりませんでした。


その後、おじいちゃんは……現実逃避、なのか、一気に『ボケ』たと言っていいのか……起きてる間中ずっとおばあちゃんを探し、友達や親戚を見かけるとおばあちゃんとのほのぼのエピソードを幸せそうに話し出し……数日後、静かに亡くなったとのこと。

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