第10話 ごめんなさい。許して。

弟はちゃんとは眠れないようで、うとうとしては寝言なんですけど「ごめんなさい」を繰り返し、最後は悲鳴になり飛び起き、今、自分がどこにいるのかわからなくてパニックになる……が続きました。


ごめんなさい。

許して。


うとうとしてるのに、泣きながら、ずっとその言葉を口にしている弟。


徐々に、何を見たのかを話してくれるようになりましたが、話しながら泣いてました。


助けたくても助けられないよ。

助かった命かもしれないのに、無理だよ……瓦礫からは、引っ張り出せない。

そんな訓練したことないよ……わかんねーよ……ごめんなさい……


今も弟と過ごした数日間は鮮明に覚ており、筆舌に尽くし難い気持ちにしかなりません。


弟にとってこの震災は、いわゆる『トラウマ』のようで、時が経つにつれ、1月17日が近づくと「震災の話は聞きたくないし、(ニュースなどは)見たくもない」と、あからさまに拒絶するようになりました。

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