第6話 無理なものは、無理。
外に出た弟が真っ先にしたことは、シンガポールに住む両親へ公衆電話から【コレクトコール】で電話をかけることでした。
目の前の惨状から、すぐに電話回線はパンクすると思ったそうです。
国内で電話が繋がりにくくなったら、海外へはさらに繋がりにくくなるのではないかと思い、国際電話はコレクトコールの方が繋がりやすい、と聞いたことがあるのも思い出し、それで真っ先に生存報告をしたそうです。
その後、人伝に避難場所を聞いたので向かったのですが……
彼は歩きながら、意識的に目線は上にしていたそうです。
下は、見ない。
なぜなら、倒壊した建物を見るのも辛ければ、姿は見えないけれど呻き声や助けを求める声が途切れず、声の出どころを知ってしまったら……見てしまったら……何もできない自分が許せなくなる気がしたからだそうです。
それでも、一度だけ、比較的元気そうな声で助けを求めている人が居て、瓦礫具合?からも引き出せるのではないかと思って助けようとしたら、自分が瓦礫にハマって身動きできなくなり、二次災害に。
彼は声の限りに助けを求め、たまたま通りがかったおまわりさんたちに救助されたそうです。
救助されて、痛感したと言ってました。
何の訓練も受けていない民間人が瓦礫の中から人間を救助するのは無理。
二次災害にしかならない。
彼は震災後、ずっとそれを気にしていました。
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