第1話 勇者人生の始まり

聖剣『ミスルギ』を手に入れた。勇者と言う称号も。まだ俺とレイナ・ミスルギは森の中をさ迷っていた。


「レイナ、あの瞬間移動とか?」


「ないですよ。カイト様」


様付けはいらないって言ったのに。とにかくこの森をさっさと出ないとな。


「気を付けてください。もうこの森に魔物の気配がします。」


凄いな分かるのか。レイナが聖剣『ミスルギ』と伝えられはしたがまだ剣を見たことないから。いましがた聖剣がこの女の子だとは思えない。


木々を両手でどかしながら進んでいく。剣で切って進んでもいいけどバチがあたりそうだし。いちよう止めとこう。


「カイト様!魔物です!」


「くっ!」


右側から鋭い爪が俺に襲いかかる。スッと後ろに移動する。木々から熊型の魔物『グリゼェー』が現れた。この魔物の特徴は長く分厚い爪で相手を攻撃してくる。


それにこっちが何もしてなくても襲ってくる。狂暴性もある。


「レイナ、逃げるぞ!」


「カイト様、今です私を使って下さい!」


使う!?レイナが本当に聖剣なのか、確かめるすべはない。考えてる時間がもったいない。


「カイト様、手を!」


「わかった!」


レイナの手を掴むと白いオーラと共にレイナが聖剣『ミスルギ』に変わっていく。綺麗なこの輝きは聖剣と言って相応しい程だ。


白く綺麗な長剣だ。刀身の輝きは魔を払う特別な魔力を感じる。


『カイト様、来ます。』


頭に直接、レイナの声が響く。そうかこの剣はレイナである。だからその剣を持ってる俺に声が伝わるのか。


「普通に使うぞ!」


『ええ、どうぞ』とレイナの声が聞こえた。右手で剣を構えて斜め下からグリゼェーの身体を切る。こいつは魔物、ならこの聖剣は痛いはず。


切りはしたが、浅かったようで。グリゼェーは俺に攻撃を仕掛けてきた。とっさに聖剣でガードするがグリゼェーの力に押されて吹き飛ぶ。


「くそっ……あいつ」


『大丈夫ですか?カイト様』


聖剣を見て分かることは傷一つ付いてない事、と言うことはレイナの力は本物だ。俺の力が追い付けてない。


さっきレイナが言ってた。聖剣『ミスルギ』に適用した勇者がいなかった。だけど俺ならこのレイナの力を使う事が出来るとなら大丈夫だ。


「俺はなるぞ……」


ゆっくりと立ち上がり、聖剣『ミスルギ』を構える。目の前にいるグリゼェーを倒してこの森を出る。


「はぁぁぁーーー!」


グリゼェーに近付き、確実に一発一発を当てていく。断末魔のような魔物の声が響く。

うるさいとお思いながら、一生懸命動いて避けながら切っていく。

そして……。


「終わった……はぁ……はぁ」


グリゼェーは黒い霧になって消えた。その場に落ちた。結晶、魔石売ればお金になるしまぁ集めとくか。


「カイト様、その石はなんですか?」


いつの間にか人の姿に戻ってるレイナに少し驚いたが、魔石を知らないのか?


「魔石だけど、お金に変わる」


「知らないです」


ずっと剣だったとしても可笑しくないか?でも、そんな事より。この森の抜け出しかたを探すべきだな。


★★⭐⭐★★⭐⭐


「…………」


「…………」


抜け出せた。と言うか普通に歩いてただけレイナに目を向けると明らかに顔を反らしてる。抜け出すために必要な事をしてなかったそんな感じだろう。


「レイナ、行くぞ」


「はい」


さっきは気にしなかったが19歳ぐらいかな?レイナの年齢。俺もまだ26歳だけど。


街道を歩くこと数分、他の人達も行き交うようになってきた。馬車だったり色んな人達。


「カイト様って目立たないですよね」


まぁ、黒髪に灰色の瞳。黒のフード付きのコートだったり。全身真っ黒だ。勇者には見えないよな。


「うるさい、歩け」


「はーい」


この服は俺が憧れた絵本の勇者を真似た者だ。その勇者が黒いんだから、大丈夫なはず。


もう少し、歩くと町が見えてくる。『ミスュラース国』海に面したこの町はいろいろな国と交易をしてる事で有名だ。


「なんか知ってる、ミスュラースと違うな?」


「この国……黒いのが見えます。勇者様」


黒いの?俺には何も見えないが、レイナが警戒してるのだけは分かる。


「私達、聖剣は勇者の剣であり、勇者をサポートする役割も担ってます。だから分かるんです……」


「どうヤバいんだ?」


俺がそう聞くとレイナは真面目な顔で答える。


「この町はこのままでは、滅びます。」


「えっ?」


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