第5話違和感と温度(3)



シャワーから戻ると、




蓮さんが電話をしていた。




「……今日は戻れない。




明日でいい」




低く、冷静で、命令のような声。




テーブルに置かれたスマホが目に入る。




『社長、確認お願いします』




……社長?




視線に気づいたのか、




蓮さんはすぐに画面を伏せた。




「仕事です」




「……会社、やってるんですか?」




少し迷ってから聞く。




「ええ。




小さいですけど」




違和感が胸に溜まる。




この人、何者なんだろう。








「……私、帰ったほうがいいですよね」




そう言うと、




蓮さんははっきり首を振った。




「行くところ、あるんですか」




答えない私を見て、




声を落とした。




「今日は、ここにいてください」




その目は、優しいのに、逃げられない。




「無理に何か話さなくていい」




胸の奥がざわつく。




――まだ信じきれない。




でも、少しずつ、




この人の存在に気持ちが揺れ始めていた。




本人も気づかないうちに。


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35歳、年下御曹司に本気で溺愛されていました 真夜中さん @keitaishosetu-suki

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