第3話 違和感と温度(1)


「……本当に、少しだけです」




蓮さんはそう言って、




私にタオルを差し出した。




「風邪ひきますから」




その言葉が、




まるで前から私を知っているみたいで。




「ありがとうございます……」




通されたのは、駅近の高層マンション。




エントランスに足を踏み入れ、




思わず立ち止まる。




「……ここ、ですよね?」




「はい」




さらっと答える蓮さん。




さらっと、




住む場所じゃないところに住んでる。




鏡に映る自分は、




濡れた髪、すっぴん、体重75キロの場違いな女。




「……私、やっぱり――」




「大丈夫ですから」




振り向くと、




蓮さんは私を見下ろし、




少し眉を下げていた。




「今、無理しないでください」




どうして。




どうしてこの人は、




そんな言い方をするのかな?




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