デンキ会議

 その日の放課後、まず計画の準備のため、念入りな話し合いができる場がいる。しかしそこはさすがのラグ参謀である。

 なんでも行きつけのところがあるというのだ。

 きっと彼女はそこで日夜あらゆる男をひっかける作戦を練っているのだ。機関銃だったり、大砲だったり、戦車だったり挙句の果てには大陸弾道ミサイルなんかも完備されているんだろう。

 こんな期待だっただけに、案内されたときはしょんぼりした。

 そこは大型家電量販店で、売っていても、あからさまにおもちゃな銃がこどもを待っているくらい。

 もしかしたらドラム式洗濯機、冷蔵庫といったもののなかに、地下基地への通路が、と持ちなおして、なかを覗いてみたがどれも大きさにみあった空間があるだけだった。

 ラグに促された帰着地は家電量販店のマッサージチェア。

 ちょうど二台並んでいて、ラグがどっかり座ったから、僕もなんとなし隣に座った。常連らしくマッサージもし始めたから、僕もならった。眠りこけて夢のなかでもマッサージチェアに座って、そのなかでも眠りこけれるといった心地よさだった。

 常連だとこの心地よさに親しんでいるためか、体を震わしながらもあくまで平静そうにしていた。

 ここからは眠たい会議である。僕は発案者であり、当事者だからもっと熱心にいるべきだ。が、この背中へくる痛みはほどいい。なぜ会社員なんかがこのマッサージチェアを導入することを会社に直訴しないのかがわかった。これでは仕事にならない。会社のデスクがこたつにならないくらい仕事にならない。

 僕は眠い、されど会議はおどる。

「じゃあ、彼女の機嫌をとり戻すところからはじめよう」

「どれから手をつけたらいいんだ?」

「彼女の知っていることで、彼女がよろこびそうなことをやれば?」

「彼女のことまったく知らないんだ。でも、そんなことはどうでもいい。殴ってでも彼女に好きと言わせてふればいいんだ」

 僕が荒っぽくなっているのは眠いせいで、脊髄と口さきが癒着してしまっているためだ。あまり真に受け取らず、寝言と考えてもらってかまわない。

「そんなのだめ。もっと繊細にいかないと。シャボン玉をさわりにいくような気遣いが大事」

「なら彼女をサンドバッグに入れる準備をしよう。できたサンドバッグは不良更生事業の一環とかいって、ボクシングジムにでも提供しようじゃないか」

「君って、なんで逮捕されなかったんだろうね。でも恋愛のほころびはいつだって、ちょっとした気遣いのなさから起こるんだよ。くだらないちょっとしたことから。

 僕はおぼろげだったが、このときラグはとてもしんみりした。雨雲が追っかけてきそうな声をしていた。それから彼女がやったジュリエット役のひとつをしてくれたわけだ。

 では語りべをラグとして、次回に記載しておくので、読みたい人は読んで、読み飛ばしたい人は読まないでいい。なんせ僕もまともに聞いていなかったし。どうでもいい話だ。

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キラギラ・キライン 外レ籤あみだ @hazurekujiamida

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