神様の床下
その夜、たぬきはいつものように『金色の大どんぐり』の下で丸くなっていた。
世界は静かだ。
風が葉を揺らす音と、遠くを走る車の走行音が、一定のリズムで夜に溶けていく。
ここには、たぬきを叱る母さんも、退屈な兄弟たちもいない。
ウトウトとまどろみかけた、その時だった。
――カツ、カツ、カツ。
石段の方から、硬質でリズミカルな音が近づいてきた。
たぬきは弾かれたように顔を上げる。
石と硬い何かがぶつかる、たぬきの大好きな『知らない音色』だ。
けれど、そのリズムはどこか乱れていて、重たい。まるで手負いの獣が、足を引きずっているようにも聞こえる。
たぬきはその音に釣られて、のっそりと縁の下から鼻先を出した。
月明かりの下、一人の人間が境内に現れた。
長い毛(髪)を振り乱し、よろよろと拝殿の階段に腰を下ろす。
そして、人間は懐から『鮮やかな色の筒』を取り出した。
――プシュッ!
夜気を切り裂く、鋭い破裂音。
ああ、なんていい音なんだ。
たぬきはその音に魅了され、警戒心も忘れて身を乗り出した。
その時、人間が顔を上げ、月光がその顔を照らした。
「ぴゃっ!!!」
たぬきは息を呑み、
またしても『
間違いない。
青白い顔の、その両目の下。
そこに、たぬきと同じ『
こんな光の森に、『
彼女はきっと、ここで暮らしている名のある大ダヌキに違いない。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます