第4話 いいこと思いついたんだが

 さて、結論から言うとーー


「孝太郎君、他に欲しいものはない?」


 俺は見事なヒモになりました!


 大量の買い物袋を引っさげて街を歩くあかりさん。その袋の中身は全部俺のものだ。


「もっと二人で入れるお店があれば良いんだけどねー。

女が男性物のお洋服に悪戯するから、最近は男性専用のお店が増えちゃったのよね」


 二人で買い物へ出たのは良いが、貯め込んだ財力をここぞとばかりに使ったあかりさんは、値段も気にせず俺の洋服や小物をバンバン買ってしまう。


 スマホも最新機種だし、なんとかウォッチとかいうのも買ってくれた。


「あかりさん。大変ありがたいんですが、流石に使い過ぎですよ……」

「良いの良いの! どうせ使い道なんて……」


 急に立ち止まって自分の下腹部をさすり出すあかりさん。それはあれですか、赤子という意味でしょうか……。


「そうね、使い過ぎも良くないわね。この子のためにも」


 いやいや、早過ぎですよあかりさん。

 確かに、しこたま出しましたけど。

 でもまあ、責任は取らないとな……。


「あかりさん。俺、ちゃんと責任取りますから!」

「責任? なんの事?」


「え、いや……もし出来てたらの話ですが」

「ん? 赤ちゃんの事よね?」


「そうです……」

「男の人がなんで赤ちゃんが出来て責任を取るの?」


 え、そういうものじゃないんですか。


「無責任に中に出して……」

「ちょっ、孝太郎君! 外でそんな事言わないっ!」


 気づけば、街行く女性達にガン見されていた。その目は軽蔑とかではなく、エロ親父がレースクイーンを見るような下心がこもった視線だった。


 うん、やっぱり変だ。

 

 あかりさんと話が噛み合わない事といい、街を歩く男性を見る女性の視線といい、どこかおかしい。


 しかも、街にカップルらしき男女がほぼ見当たらない。平日という事もあるが、ここは都心だ。街を歩いていればカップルに出会ってもおかしくない筈。


「あかりさん……」


そこで俺は、あかりさんへ核心に迫る質問をする事にした。


「この世界の男って、性欲が極端に低いとか、女性が苦手とかある?」

「え? まあ、そうなるわね。どうしたの急に? もしかして、私といるのが嫌になった……?」


 どうやら俺の予想していた展開が現実になっていそうだ。


 あの頭痛の後に感じた違和感と今起こっている現実。ここは多分、俺が知っている世界ではない。


「実はーー」


 俺は不安そうな表情を浮かべるあかりさんへ正直に話をする事にした。


「そんな事ってあるの……」


 近くのカフェで現在俺が直面している問題を洗いざらい話した後、あかりさんは信じられないという顔で考え込んでしまった。


 俺はサイフに入った免許証や保険者など、自分の身分が分かる物をあかりさんへ見せる。


「この免許証には、あかりさんが今住んでいる住所と同じ住所が書いてあります。俺も前の世界では同じ所に住んでいたんです」

「だからあの時、自分の家だと言っていたのね。ちょっと未だに混乱してるけど、孝太郎君が嘘をついてるとは思えない。とりあえず、お家に帰ってこれからの事を考えましょう」


「ありがとうございます。その前に、ちょっと寄り道しても良いですか?」


 カフェを出た後に俺達が寄ったのは、俺が働いていた職場や、俺を知っている馴染みの店など。


 だが、案の定誰一人として俺の事を知っている人はいなかった。逆に、俺が知っている顔もそこにはなかったのだ。


 いよいよもって、予想が現実となる。


 この世界にとって俺は異物。俺は別の世界へ迷い込んでしまった事になる。


「大丈夫? 孝太郎君……」


 帰り道、俺が落ち込んでいるのではと心配して話しかけてくれたあかりさん。


「全然大丈夫です。むしろ良かったというか」

「良かった?」


「だって、この世界で俺みたいな女性が好きで精力旺盛な男は珍しいんですよね?」

「まあそうね。男性が女性と結婚したりお付き合いをするのは十人に一人ぐらいの割合よ。それも、セックスなんて年に数回あれば良い方だって聞くわ」


 そう、俺は頭痛が起こる前に天に呟いていた。今いる世界のような所へ来る事を。


「なら、俺にとっては好都合です。そこでちょっと聞きたいんですが、俺が他の女性とそういう関係になったらどう思いますか?」


 かなり下衆な質問だが、重要な事なので聞いておくべきだと思った。


「個人的な話を言えば、孝太郎君を独占したい気持ちもある。だけど、私みたいに男に飢えていた女性の気持ちを考えると、孝太郎君が問題ないなら他の女性にも分けて上げて欲しいと思う。その逞しい体と旺盛な精力を」


 なるほど、この世界では男の浮気という概念さえないのかもしれない。


 という事はだ、この世界はーー


 女をハ◯放題!!!!


「分かりました! 精力の限り、男に飢えた女性達を救います!」


 まあ、俺のタイプの女性や、息子が反応する女性限定の話だが。


「でも、今は私だけ見て欲しいな……」


 そんな事を恥ずかしそうに呟くあかりさん。


「そんなの当たり前です! さあ、帰ってエッチしましょう!」

「もうっ、声が大きいわよ孝太郎君っ! 男の子が人前でそんな事言っちゃダメよ?」


 とは言うものの、家に帰ってあかりさんがまずした事と言えば、手洗いうがいでもなくーー


「いただきます♡」


 玄関開けて五秒で◯◯。

 

 どこのAVタイトルやねん、なんて思いながらも俺はなすがままだった。


 もちろん、してもらうばかりでは申し訳ない。夜はベッドでたっぷりお返した。

 

 今日と明日は有休を取ったというあかりさん。今日は木曜日だったので、週末と合わせて四連休という事になる。


 その間は、もちろん……猿になった俺達は、ひたすらお互いの体を貪った。朝から晩までよくやると、自分でも思う。


 兎にも角にも、乱れに乱れた連休を過ごしたと言っても良いだろう。もっとも、俺の場合はずっと休みだが。


「ああ……明日から仕事なんて憂鬱だわ」

「まあまあ、帰りを待ってますんで、無理せず早く帰って来て下さいね?」


「うん♡ 帰りを待ってくれてる人がいるって、こんなに幸せな事なのね」


 という訳で、セッ◯ス漬けの連休を終えたあかりさんは、気怠そうに職場へ出かけて行った。


 そんな中、家に一人でいる俺は、暇を持て余していた。


「うーん、簡単な家事は済ませちゃったし、後は何をして過ごせば良いんだ?」


 仕事も無くなってやる事がない。

 かと言って出かけるのも億劫だ。


 仕方なくスマホで動画配信サイトを見ていると、興味深い動画に辿り着いた。


『はーい、今日は長崎県に来てるよー』


 それは、女性が一人旅の様子を記録してアップロードしている旅ログの動画だった。


 尺は三十分程度で、旅行先のグルメやスポットなどを紹介しつつ、"旅先でナンパをしてみた"などの、ちょっとした企画をやっていたりもする。

 

「これ、俺がやったらめっちゃ儲かるんじゃね?」


 動画配信だけで食べていける人も前の世界では多くいた。この世界もまた、同じように動画配信で食べている人がいる。


 そして俺は、この世界では珍しい女好きの男。男の一人旅の需要を調べてみたが、そもそも男が一人で旅をするなど危険。というのが、この世界の認識のようだ。


 中には挑戦していた人もいるようだが、女性からの容赦ないセクハラとレ◯プ未遂などがあり、その男性は途中で旅を諦めていた。


 今でもそのチャンネルが残っているが、登録者は驚きの二百万人。たった二つの動画しか上がっていないのにだ。


「これは食える。そして楽しめる」


 俺はこの世界では異物。

 セクハラ? どうぞどうぞ。

 レ◯プ? 逆に良いんですか?

 ただし、抱ける女に限る。


 実の所、一人で旅をしながら日本を一周してみたいという夢があった。


 前の世界ではお金の問題で頓挫した夢だったが、この世界では動画配信でお金を稼ぎながら悠々と旅を出来るのではないか。


 そんな思いがひしひしと湧いてくる。


「まあ、収益化になるまでは自力で旅をしなきゃいけないから、その資金はどうするかだな……」


 さて、どうしたものか。

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【修正版】貞操逆転世界に迷い込んだ絶倫男、旅の様子を配信していたらいつの間にか億万長者に ダーゥイン @Miyuzu-syousetu

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