第7話

 通院困難なあなたは訪問診療を受け入れるしかなかった。看護と介護も必要だ。訪問リハビリも取り入れられたが、あなたはそれも拒否した。何をしたって動けるはずもない。あなたは介護用ベッドを従者にした。

 嫁は決められた時間通りに部屋を訪れた。あなた用に特別にこしらえたゼリー食やとろみのある飲料をあなたに摂らせ、そして下の世話をした。

 嫁は淡々と作業をこなした。何の不服も口にしない。そのかわりあなたに笑顔を見せたり、癒しの言葉をかけることもなかった。その態度は長男のところに嫁いできたときと変わらない。あなたが突きつけるどんな難題も、嫁は黙って受け入れた。

 家を出たあなたの長女と二男は思い出したかのようにあなたのもとを訪れた。しかしそれぞれの家族を連れてくることはなかった。あなたは彼らにとって遠い親戚になっていた。

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