製作開始
数日後。私は美咲を連れて実家に行った。
一息つくと母は私に広告の裏に書いた図面のようなものを見せた。
「何これ?」
「出来上がりの寸法から、縫い代とかを計算して、布の裁ち方を書いたものよ。今日はコップ入れから作りましょう」
机に布を広げると母が書いていた通りに印をつけ、布を裁った。
「まず全体に端ミシンをかけて、ミシンの糸掛けはしておいたから」
私は言われた通り全体に端ミシンをかけた。
「左右の出来上がり位置に線を引いて中表に二つ折りにして」私は言われた通りにする。
「空きどまりまでを計って印をつけてミシンをかける。最初と最後は返し縫」
私はどうにかミシンをかけた。
「次は少し難しいかも、あきの縫い代を割って出来上がり線でアイロンをかけて」
「え!解らない」私がそう言うと母が実践してくれた。
「反対側をやってみて」私は見ていた通りに反対側にアイロンをかける。
「縫うのにずれやすいからしつけかけた方がいいわね。表に縫い代を抑えるように
コノ字形に縫うのよ」母が片一方にしつけをかけた。私はもう一方をやろうとして
「痛い!」私は思わず指をくわえた。
「ママ大丈夫?お手手痛い?」
「針刺したのね、はい絆創膏」母が絆創膏を渡す。
「う~、本当に私ったら不器用」私は痛みをこらえながら絆創膏を張り、しつけをするとミシンをかけた。縫ってみてわかった。本当に縫いにくい。しつけしていなかったらずれてしまう。
「もう少しよ。今度は上を出来上がり線で折って、下を表に縫い付ける、これもしつけした方がいいわね」私は言われた通りしつけした。
ミシンを掛けようとしたが袋状になっていてうまくいかない。
「台を狭くしようね」母がミシンの台をはずしたそうすると台の幅が狭くなってその台に差し込んでどうにか縫うことが出来た。
「糸の始末して、しつけを取って。表に返してごらん」私は言われた通りにした。
「後はひもを通すだけよ。2本のひもを交互に通して端を結んで、そうするとしっかり閉まるようになるから」私は言われた通りひもを通した。
そしてひもを引っ張ると口が閉じ、口に手を入れ引っ張ると口が空いた。
「わー!ママ凄い。これ美咲のコップ入れ?」
「そうよ」そうは言ったものの私は疲労困憊だった。
「よく出来たじゃない。体操服入れは大きさが違うだけで作り方は一緒よ。お昼にしましょう」
母がキッチンに行って用意している間に私と美咲は手を洗いに行った。
暫くすると母が炒飯とスープを持って来てくれた。
「いただきます」手を合わせてそう言うと美咲はさっそく食べ始めた。私達も続いた。
「どう、作ってみた感想は?」
「大変よ。なんでこんなものをいまだに作らせいるわけ。教えてもらえなかったら作れてない」
「そうよね。私は裁縫とかミシンとか使い慣れているけど、今どきの人はそうじゃないしね。キットが売られていたり、出来た物を買う人もいるそうよ。ネットでも売られているしね」
「そうなんだ」
「で、どうする、体操服入れも作る?」
「いや、止めとく。家のことが出来なくなりそう」
「ママ、お手手痛いの?」
「大丈夫よ。慣れないことをして疲れただけだから」私がそう言うと美咲は笑顔になり食事を続けた。
「次は3日後に来るわ。少し休まないと」
「解ったわ。無理はしない方がいいけど、ミシンを使うコツ忘れないようにね」
「う~~、痛いところを突く」
私たちは笑いあった。
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