第2章:エリアン・マレクの日記

私の名はエリアン・マレク。

もし君がこれを読んでいるのなら、私は自分に残された最後の希望の火種を、君に託したということだ。


私は1860年、ペルミア地方に生まれた。

物心ついた頃から、私は変革の支持者だった。15歳のとき、幼なじみのマルティン・オドウェルと共に、アルビア=ペルミア解放戦線に身を投じた。

私たちはロバート・ウィルソンを無条件に崇拝していた。

狂信的だった。若かった。盲目だった。


1877年のあの日のことを、私は今もはっきりと覚えている。

瓦礫と化したヴァステラ宮殿の上で、ウィルソンは赤い旗を掲げた。

民衆は、まるで神を呼ぶかのように彼の名を叫んでいた。

私たちも、彼を神のように見ていた。


彼の死後、運動の名は変わった。

そして私たちは、骨の髄まで忠実なまま、新たに結成されたグラン・パルティに仕え続けた。

だが年月と共に、亀裂は隠しきれなくなっていった。


革命兵士だった私たちは、やがて正規部隊の指揮官となった。

その後、革命親衛隊が創設された。

彼らは言った――我々が追っているのは、絶対王政の犯罪者、旧奴隷王国の支持者だと。

だが、私たちが目にしたのは……犯罪者ではなかった。

人々だった。

老人。子ども。夢を見る者たちだった。


やがて第二次大戦争が勃発した。

その時、私ははっきりと理解した。

グラン・パルティは何一つ尊重していない。

条約も、権利も、人間性すらも。


そこで、マルティンと私は調査を始めた。

沈黙の中で。影のように。

答えを求めて――ウィルソンの理想は、どこへ消えたのか。


そして、真実に辿り着いた。


ロバート・ウィルソンは自然死ではなかった。

内部から殺されたのだ。

静かな裏切り。

計画された粛清だった。


ある日、革命親衛隊が私の家の扉を叩いた。


「マレク司令官、同行していただく」


機密文書への不正アクセスの容疑だった。

事実だった。だが、証拠はなかった。


その後に起きたことを、私は抑えた怒りと共に記す。

マルティン・オドウェルは……私を否定した。


「エリアンと私は、真の友人だったことはありません」

尋問官の前で、彼はそう言った。

「彼の活動とは無関係です」


彼らは私に、死よりも重い罰を与えた。

数日間にわたる拷問。

自白は得られなかったが、それは問題ではなかった。

彼らは、私が最も苦しむ場所を狙った――家族だ。


全員を殺した。

妻も、子どもたちも。

病に伏していた母でさえ。

戸籍から私の姓は抹消され、私は地図から消された。


残ったのは、私一人。

そして、憎しみだけだった。


だが、彼らは幼稚な過ちを犯した。

新人の看守が、牢の錠を完全に閉め忘れたのだ。

私は脱走した。

そして、亡霊となった。


その時、私は復讐を誓った。


かつての階級のおかげで、私は機密情報を保持していた。

軍事計画、秘密施設、党の物流ルート。

だが自由に動くことはできなかった。

私の顔は、すべての指名手配ポスターに載っていたからだ。


そこで、偽の身分を使った。

ヴェルガリス工業学校に、教師として潜り込んだ。

私が求めていたのは、復讐だけではない。

後継者だった。


そして、見つけた。

君だ、ダリアン。


君の批判的思考、不服従の精神、抑え込まれた怒り……

すべてが、私の求めていたものだった。

だから私は、この日記と、回収した資料を君に託す。

そして、最後の象徴的な行動を起こす。


広場の塔で、雨の中、

私はペルミアとアルビアの自由を叫ぶ。

そして、綿密に仕組まれた爆発によって、自らの死を刻む。

私が死んだと信じられた時、君は自由になる。

誰も、君を監視しない。


今、炎は君の手の中にある。

この頁には、グラン・パルティを崩壊させうる秘密が記されている。

同時に、それが誤った手に渡れば、君自身を破滅させるだろう。


――未来が存在するかどうかは、今や君次第だ。


エリアン・マレク

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