第11話 寛解期:「治った気がする」という罠


ある日、ふと気づきます。


「あれ、最近わりと普通に動けてるかも」

「前みたいに落ち込まない日が増えたな」


散歩もできる。

人とも話せる。

笑える時間もある。


そんな日が続くと、

自然とこう思います。


「もしかして、もう治った?」

「そろそろ元の生活に戻れるかも」


この感覚。

これが、寛解期の入り口です。



寛解期というのは、


症状がかなり軽くなり、

日常生活が

ある程度できる状態


のこと。


完治ではないけれど、

「普通」に近づいている段階。


ここまで来ると、

本当に嬉しい。


「やっと抜け出せた」

そんな気持ちになります。


でも、

ここにひとつ大きな罠があります。



「もう大丈夫」は危険信号


寛解期で

一番やってしまいがちなのが、


急に元の生活に戻そうとすること。


・仕事をフルタイムで再開

・予定を詰め込む

・夜更かし復活

・無理して人付き合い


「できる気がする」

から、やってしまう。


でも、

脳の中はまだ


完全復旧していません。


表面は元気でも、

中身はまだ

リハビリ中。


例えるなら、


骨折が治って

ギプス外した直後


見た目は治ってるけど、

筋肉は落ちてるし、

無理すると

すぐ痛くなる。


それと同じです。



再発は「気の緩み」から来る


医学的にも、


再発の多くは

 寛解期に起きる


と言われています。


理由はシンプル。


✔ 自分はもう大丈夫

✔ 薬や通院を自己判断でやめる

✔ 睡眠や生活リズムが乱れる


こういうことが

重なっていくから。


「もう病気じゃない」

と思いたい気持ち。


それ、

めちゃくちゃ分かります。


でも、


まだ“治療中”


それを

忘れないことが大切です。



僕の失敗


正直に言います。


僕も、


「だいぶ良くなった」

と思った時期がありました。


そのとき、


・予定を入れすぎ

・夜更かし

・無理して外出


全部やった。


結果。


見事に逆戻り。


「あ、

 調子乗ったな」


後から

冷静に思いました。


でもその時は、


「もう治ったはずなのに…」


って、

めちゃくちゃ落ち込みました。



寛解期の正しい過ごし方


今、意識しているのは、


“治ったふり”をしないこと。


・疲れたらやめる

・眠いなら寝る

・嫌なら断る


「前ならできた」

は、捨てました。


今の自分基準

で生きる。


これが、

再発防止のコツです。



「戻る」じゃなく「更新」


考え方も変えました。


「元の自分に戻る」

じゃなくて、


「新しい自分に更新する」


うつ病になる前の生き方が、

そもそも無理ゲーだった。


だから、


・働き方

・人付き合い

・休み方


全部、

作り直す。


これは

負けじゃない。


アップデートです。



感情の話を少し


寛解期になると、


嬉しさと同時に

不安も出てきます。


「また落ちたらどうしよう」

「この状態、続くのかな」


これ、

自然な感情です。


むしろ、


慎重になれるのは

 回復している証拠


前は、

そんな余裕すら

なかったから。



今日のまとめ


寛解期は


✔ 動ける

✔ 普通っぽい

✔ でもまだ途中


気をつけるのは


・急に頑張らない

・生活リズムを守る

・「治った」と思いすぎない



次回は


第12話


完治しない病気と、生きていく


「一生付き合う」

ってどういうことか、

希望も含めて書きます。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る