第6話 回復は、まっすぐ進まない


「よし、今日は調子がいい」


久しぶりに

朝スッと起きられて、

外に出られて、

少し笑えた日。


そんな日は、

心の中で小さくガッツポーズします。


「もしかして、もう治った?」

「このまま戻れるかもしれない」


ほんの少し、

希望が見える瞬間。


でも次の日。


まるで嘘みたいに、

体が重くなる。


・布団から出られない

・頭がぼーっとする

・理由もなく不安になる


昨日の自分は、

どこに行ったんだろう。


この落差が、

とてもつらい。



うつ病の回復で

一番誤解されていること。


それは、


回復は直線じゃない

ということです。


多くの人が

「だんだん良くなる」

と思っています。


でも実際は、


良い日

悪い日

少し良い日

また落ちる


階段じゃなくて、

波みたいな動きをします。



これは

気のせいでも

気分屋でもありません。


脳の回復過程そのものが

こういう形だからです。


うつ病で傷ついた脳は、


・神経伝達物質のバランス

・シナプス(神経の接続)

・自律神経


これを

少しずつ

調整し直しています。


専門的に言うと


「神経可塑性」


脳が作り変わる力です。


でもこれは、


・一気に進まない

・日によってムラがある

・ストレスですぐ後退する


とても繊細。


だから、


昨日できたことが

今日はできない


という現象が

普通に起こります。



僕も、

何度もこれを経験しました。


散歩できた日。

カフェに行けた日。

友達と笑えた日。


「やっと戻ってきた」


そう思った翌日、


布団から出られず、

自己嫌悪で泣く。


「結局、

 何も変わってないじゃん」


そうやって

自分を責める。


でも今なら分かります。


それ、回復してる証拠

だったんです。



なぜなら、


良い日が

ゼロから

“たまに”出てきた。


それ自体が、

脳が動き始めたサイン。


最初は


・月に1回

・週に1回

・週に2回


少しずつ

増えていく。


気づかないくらい

ゆっくり。


でも確実に。



ここで、

一番やってしまいがちなミス。


調子いい日に

頑張りすぎること。


・溜まってた用事を全部やる

・人に会いすぎる

・夜更かしする


「動けるうちに」


その気持ち、

めちゃくちゃ分かります。


でも、

これは


回復ブレーキ破壊行為

です。


翌日、

確実に反動が来る。


これを

「躁転」

と勘違いされることもありますが、


多くは


ただのエネルギー切れ


です。



脳はまだ、

リハビリ中。


筋トレで言えば、


やっと

腕立て1回できた人が、


「いける!」

って100回やるようなもの。


そりゃ、

翌日動けなくなります。



だから大事なのは、


調子いい日に

ブレーキをかけること。


・6割でやめる

・疲れる前にやめる

・楽しくても切り上げる


これ、

本当に勇気いります。


でも


回復期の一番大事な技術

です。



僕は今、


「調子いい日ほど

 セーブする」


これを

意識しています。


昔は、


「動ける=全部やる」


だった。


今は、


「動ける=

 今日は少しだけ」


に変えました。



もし今、


「良くなったと思ったのに

 また落ちた」


そう落ち込んでいる人がいたら、


それは


後退じゃありません。


ちゃんと

前に進んでいます。


波打ちながら。



今日のまとめ


回復は


✔ 一直線じゃない

✔ 波みたい

✔ 良い日と悪い日が交互


それは


脳が作り直されている証拠


大事なのは


・調子いい日に無理しない

・悪い日に責めない

・長い目で見る



次回は


第7話


一番つらい「回復期」


なぜ急性期より

しんどいのか、

正直に書きます。

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