第5話 何もできない=怠け ではありません


「今日は何もできなかった」


その一言だけで、

一日が全部ダメだったように

感じてしまうことがあります。


・外に出られなかった

・誰とも話さなかった

・何も生産していない


そんな日は特に、


「自分は役に立たない」

「社会に必要とされていない」


気づけば、

心の中で

自分を裁く言葉ばかりが

増えていきます。


僕も、

何度もそう思いました。



でも今なら、

はっきり言えます。


何もできない日は、

怠けているわけじゃない。


それは、


脳が“限界サイン”を

出しているだけです。



うつ病のとき、

脳では


・前頭前野の機能低下

・ドーパミンの減少

・自律神経の乱れ


が同時に起きています。


専門的に言うと、


「精神運動制止」

という状態。


これは、


・体が重い

・動きたくても動けない

・声を出すのも億劫


といった症状を指します。


つまり、


サボりではなく

神経のブレーキが

かかっている状態。


ブレーキ全開なのに、


「アクセル踏め」


って言われても、

無理な話ですよね。



僕のある一日。


朝、目は覚めているのに

体が動かない。


「起きなきゃ」

「歯磨かなきゃ」


頭では分かっているのに、

体がついてこない。


布団の中で

1時間、2時間、

ただ天井を見る。


この時間が、

いちばん苦しい。


だって、


“何もしない自分”を

ずっと見つめ続ける

時間だから。



不思議なことに、

やりたい気持ちはあるんです。


・散歩したい

・友達に会いたい

・絵を描きたい


ちゃんとある。


なのに、

体が動かない。


この矛盾が、


「自分は怠けている」

という誤解を

生み出してしまう。


でも本当は、


“やりたい”と

“動ける”は

別の回路なんです。



脳科学的には、


・やりたい → 前頭前野

・動ける → 運動野+ドーパミン


この連携が必要です。


うつ病では

この回路が

うまく繋がらない。


だから、


気持ちはあるのに

体が動かない


という現象が起きます。


これ、

めちゃくちゃ

つらいです。



そして、

何よりきついのは


周りに理解されないこと。


「え、寝てただけ?」

「それで疲れるの?」


悪気がない言葉ほど、

深く刺さります。


説明しようとしても、


「甘えじゃん」

で終わる。


この瞬間、


「もう話すのやめよう」


って、

心が閉じます。



でもね、

知ってほしい。


“何もしない”は

治療の一部です。


脳が


「今は修復モード」

に入っているとき、


無理に動くと

逆に悪化します。


これは医学的にも


✔ 再発リスク上昇

✔ 回復期の逆戻り

✔ 症状長期化


が知られています。


つまり、


休む=サボり

ではなく

治療行為です。



僕は今、

「今日は何もしない日」

ちゃんと許せるように

なってきました。


昔は


「最低な一日」


だったけど、


今は


「脳の回復日」


そう言い換えています。


言葉ひとつで、

自分への扱いが

変わるんです。



もし今、


「何もできなかった」


そう落ち込んでいる人が

いたら、


こう言ってあげたい。


それ、

ちゃんと治療してます。


生きてるだけで、

十分すぎます。



今日のまとめ


うつ病のとき、


✔ 動けない

✔ 何もしない

✔ 寝てばかり


これは


怠けではなく

脳のブレーキ。


必要なのは


・責めること ❌

・無理すること ❌


・休むこと ⭕

・許すこと ⭕



次回は


第6話


回復は一直線じゃない


良くなったと思った次の日、

また落ち込む理由を

脳の仕組みから

説明します。

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