第3話 MRIで“異常”が映る病気


「うつ病は気分の問題」

「考え方を変えれば治る」


もし本当にそうなら、

脳の検査で異常が映るはずがありません。


でも実際は違います。


近年の研究で、

うつ病の人の脳は


MRI

PET(ポジトロン断層法)


といった画像検査で、

はっきりと変化が確認されています。


今日はその話をします。



そもそもMRIとPETって何?


少しだけ専門的な話をします。


MRI


→ 脳の「構造」を見る検査

→ 大きさ、形、萎縮の有無


PET


→ 脳の「活動」を見る検査

→ どこがどれくらい働いているか


つまり


MRI=見た目

PET=働き


この2つで

脳の状態がかなり分かります。



うつ病の脳で見つかる変化


研究で繰り返し報告されているのが、

次の3つです。


① 前頭前野の活動低下


前頭前野は


・考える

・判断する

・感情を抑える


いわば

理性の司令塔。


PET検査では


うつ病の人は

ここがあまり光らない


つまり


働いていない

ということが分かっています。


だから


・考えがまとまらない

・決断できない

・将来を悲観する


こうなる。


これは

性格じゃなく

脳のエネルギー不足です。



② 扁桃体の過活動


扁桃体は

不安や恐怖を司る場所。


PETでは


うつ病の人ほど

ここが異常に光る


つまり


常に緊急事態モード。


何も起きていなくても


「この先どうしよう」

「失敗したら終わりだ」

「嫌われたらどうしよう」


脳が

勝手に最悪シナリオを

量産します。


これが


・過剰な不安

・動悸

・焦燥感


の正体です。



③ 海馬の萎縮


海馬は


・記憶

・ストレス調整


を担当。


長期間のストレスや

うつ病が続くと、


海馬が実際に小さくなる

ことがMRIで確認されています。


すると


・嫌な記憶ばかり出る

・良い記憶が思い出せない

・常に過去の反省会


になります。


つまり


脳が

ネガティブ専用モード


になってしまう。



これ、もう「気分」じゃない


ここまで聞くと

分かると思います。


・働いてない場所

・働きすぎてる場所

・萎縮してる場所


全部

物理的な変化です。


つまり


「気の持ちよう」では説明不可能


れっきとした

器質的変化です。


(※器質的=形や機能が変わること)



だから回復に時間がかかる


脳は


・筋肉

・皮膚


と違って


回復がめちゃくちゃ遅い臓器です。


骨折なら

数ヶ月で治ります。


でも脳は


・神経回路の再構築

・ホルモンバランスの調整

・ストレス耐性の回復


これ全部やり直すので


半年〜数年かかることも普通


です。


だから


「もう1ヶ月休んだでしょ?」

「そろそろ働けるよね?」


この言葉、

医学的には無茶です。



僕の実感


正直、


「こんなに休んでる自分は

 社会不適合なんじゃないか」


何度も思いました。


でも


脳の研究を知って


「いや、

 これリハビリ期間だな」


って思えました。


脳の再起動期間


それが

休職だったんです。



今日のまとめ


✔ うつ病は

 脳画像で異常が映る


✔ 前頭前野

 → 働かない


✔ 扁桃体

 → 働きすぎ


✔ 海馬

 → 小さくなる


つまり


完全に“脳の病気”


ということ。



次回は


第4話


なぜ「頑張れ」が毒になるのか


脳科学的に

なぜ逆効果なのか

ちゃんと説明します。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る