子供時代の肌トラブル

ぴよぴよ

第1話 幼稚園生、背中を切られる

子供の頃から何かと肌トラブルの多い人生だった。

アトピーから謎のできものまで、たくさんの異常を経験してきた。

今から記すのは、私の肌の歴史である。


子供の頃、私の肌はもっちりしっとりとしており、特に頬が柔らかかった。

やたらと顔を引っ張られたり、餅のように伸ばされて遊ばれたものである。

両親からは「焼きたてパン」と呼ばれ、親の特権を振りかざされ、おもちゃにされていた。


私の肌にすっかり夢中な両親は、少しの異常も見過ごさなかった。ポツリとできものができただけで、阿鼻叫喚だったのだ。



ある日、私が五歳の時事件が起こる。

私の背中に無数のウオノメのようなできものができたのである。

両親は大パニックになり、嘆き悲しんだ。

特にいつも触感を楽しんでいた母の落ち込み方はすごかった。

「お餅が!イボイボになった!」と大騒ぎし、私の背中を何度も見て、ショックを受けていた。

私は鏡に映った自分を見ながら、ウルトラマンの怪獣みたいだなぁと呑気に考えていた。

一人で怪獣ごっこをして楽しんだ。

半裸で「怪獣!」と叫んでいると、母は呆れて私に服を着せた。


しばらくして父が有名な皮膚科を調べてきた。かなり遠い場所にあったことを覚えている。

父に車に乗せられ、皮膚科へ行った。

病院の先生は私の背中を見て、「はいはい、これなら1日で治りますよ」と言ってくれた。

これで怪獣ごっこも出来なくなるのかぁと寂しい気持ちになったが、肌がよくなるならまあよかろう。


「こっちにうつ伏せで寝てね」と言われ、シャツを脱がされ、台の上に乗せられた。

ピカーっと背中にライトが当てられる。

こんな経験初めてだ。

「痛いけど、すぐ終わるからね」と声が聞こえ、頭上でカチャカチャと金属音がした。

私はとてもワクワクしていた。まるで実験されるみたいだ。しかしそのワクワクはすぐに吹き飛ばされることになる。


「はい、切ります」

淡々とこう言い放つと、医者は持っていたメスで背中のできものを切った。

背中に鋭い痛みが駆け抜ける。

なんて事するんだ。私はお餅なんだぞ。両親に大切に育てられ、幼稚園でも優等生なのに。この私を切り付けるか。

許されない。怒りが湧いたが、ここで理性を捨てて暴れるのは赤ちゃんである。私は年長さんなので耐えることができた。


看護師数名が私を取り押さえている。

私が暴れるとでも思ったのだろう。なめるな年長さんを。この程度の痛み、耐えられなくて何が五歳だ。


次々と背中が切られていく。私は「くっ!」と声を漏らしたが、叫んだり暴れたりしなかった。やはり年長さんとしてのプライドが、痛みを我慢させたのである。

少し体を動かすと何かが背中を流れていくのを感じた。

見れば、背中から溢れた血が肩を滑って滴り落ちている。生まれて初めて自分の鮮血を感じた。

こんなに血が出てるってことは、今背中はどうなっているのだろう。

父も同席していたので、顔を上げて父を見た。彼は震えており、青くなっていた。


「はい、終わりましたよ」

医者に抱え上げられると、背中に縦に血が流れていくのがわかった。

とんでもない流血沙汰である。

あっという間に全身に包帯を巻かれて、解放された。

生まれて五年目でこんな拷問を受けるとは。

それに頑張ったというのに、シールもない。小児科ではないので当たり前なのだが、当時の私は背中の痛みよりシールがない方がショックだった。

「シールは?!」と騒ぐ私に、父が青い顔で「シールだね」と返していた。

彼は衝撃のあまり、返事もろくにできなくなっていたのだ。

父は手術の一部始終を見ており、自分の子供が切られまくる映像が目に焼き付いたらしく、「何も見たくなかった」と母に語った。私より父の方がショックを受けていた。


跡が残ったらどうするんだと、両親とも心配していたが、包帯が取れる頃には傷一つ残っていなかった。

さすが有名な医者である。メスで切りつけまくる行為は、必要な処置だったのだ。


この後にも、私の肌の歴史は続いていく。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

子供時代の肌トラブル ぴよぴよ @Inxbb

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ

参加中のコンテスト・自主企画