第1話 入学式
あれから六年が経った。
年齢も15歳になり、体も大きくなっていた。…胸が成長しなかったのはこの世界でも一緒だったけど。
今日はハールメン高等学校の入学式が始まる。
「お母さん、お父さん、行って来ます」
「気をつけて行くのよ!」
「なぁ…やっぱりついてったらダメか?」
「嫌だよ恥ずかしい」
心配してくれる人がいるっていうのはこんなにもありがたいものなのだとこの六年間で気づいた事だった。
私は家を出てハールメン高等学校へと早足で向かった。
○●○●○●○
やはりこの辺りで一番大きい学校はすごいな。
歩いている人を数えると数千人は軽く超えている気がする。この人達全員入学者なのか。
「きゃあ!」
ワクワクしすぎて周りを見ていなかった。
肩がぶつかってしまい、誰かを転ばせてしまったようだ。
私はその子に手を伸ばした。
「ごめんなさい、怪我はない?」
「だ、大丈夫です……綺麗…」
良かった、怪我はないようだった。
この子も周りの景色が気になっていたのだろう。私も景色に圧倒されたから。
「あ、あの!」
「?」
「名前、教えてくれませんか?」
なるほど、これからこの学校で一緒に過ごす事になるから挨拶をしようってことか。
「ルルネよ」
「ルルネ…私はサシャって言います!」
「そう、よろしくねサシャ」
サシャはそのまま走って校庭へと走って行った。私も急がないと、もう少しで始まってしまう。
私も急いで入学式が始まる校庭へと向かって行った。
○●○●○●○
全員が集まっているのを見ると圧巻だった。
すると、教員のような人がみんなの前に立つ。
教員は大きな声でこのような事を言う。
「ここ、ハールメン高等学校は優秀な人材を育成する学舎だ!今回は…うむ、皆良い目つきをしているな。私は剣士科を担当している、騎士を目指したい者もいるだろう。これからよろしく頼むぞ!」
耳が痛い…拡声魔法なしでこの声の大きさは凄いな。
剣士科か、私は魔法科だからあまり関わることも少ないだろう。
その後次々と教員の自己紹介が始まり、入学式は終わりを迎えた。
校内に入るとその大きさがわかりやすく伝わってきた。
「天井遠…」
ここで浮遊魔法使っても余裕で飛べるぐらい天井が高かった。
自分たちで決めた専門科に向かうとのことだが、一体どっちなのか分からなくなっていた。
「ルルネさーん!」
「あら、サシャじゃない」
「ルルネさんって何科なんですか?」
「私は魔法科よ」
「えっ!、同じじゃないですか!一緒にいきましょうよ!」
「私もちょうど道に迷っていたの、一緒にいきましょ」
サシャは笑顔で横をちょこちょことついて来ていた。
話していたらいつの間にか魔法科の教室に辿り着いていた。
扉を開くと私達以外は揃っていており、私達が最後だったようだ。
空いている席に座ったら先生が話を始めた。
「皆さん揃いましたね、私は魔法科担当ナルコプシアです」
結構、いや、かなりふわふわしている先生だった。
ナルコプシア先生は軽い自己紹介をしたら紙を配り始めた。
「じゃあそこに名前と趣味を書いてください、書き終わったら前に持って来てね」
紙には簡単に名前の欄と趣味や好きな事を書く欄があった。
名前 ルルネ
趣味 魔法の研究。
「これでよしっと」
前に紙を提出したらナルコプシア先生は謎の水晶を取り出していた。
前の生徒がその水晶に触ると赤色や緑色に変化していた。
サシャが水晶に触れると白色に変化していた。
「おおっ!これは珍しい、貴方光属性が得意なのね」
どうやらこの水晶には個人が得意とする属性の色が浮かび上がってくる機能をしているみたい。…じゃあ私は何色になるんだ?
不安と期待が入り混じりながら私の番が来た。
水晶に触れると周りに重苦しい空気が流れ出した。
「⁉︎…今すぐ離しなさい!」
私はその声に驚いて水晶から手を離した。
「初めての色…」
水晶は真っ黒に染まっていた。
私は何かやらかしてしまったのかと思い先生に謝った。
「いえ、貴方は悪くないわ…黒…とんでもない逸材が現れたわね」
「はい?」
「話があるわ、この後部屋に来てちょうだい」
周りのヒソヒソ話が強くなったところでナルコプシア先生が両手をパチンと音を鳴らした。
「大丈夫ですからねー、次の人来て下さーい」
その後は問題なく進み、そのまま今日の授業は終わった。
私はナルコプシア先生に言われた通り、教室の隣にある準備室に入って行った。
「単刀直入に言うわ、貴方全部の属性が使えるでしょ」
「⁉︎…ナ、ナンノコトヤラ」
「嘘はつかなくて良いわ、防音魔法を使ってるから外には聞こえないわよ」
そこまで配慮されているのなら良いか…いやいやダメだ、私は平穏に暮らしたいだけなんだ。
「そこまでして言いたくないのなら何か理由があるのね…時間をとらせてごめんなさいね、もう戻って良いわよ」
「…ありがとうございます」
準備室から出ると扉の横にサシャが立っていた。
私を待ってていてくれたのか。
「待ってたの?ありがとう」
「…いつ見ても綺麗…」
「どうしたの?」
「い、いや!なんでもないです!」
今日はもうこれで終わりらしい。あとは寮に戻ってゆっくり休むとしよう。
「…寮ってどっちかしら」
「ついて来てください!」
良い案内人がいて助かった。この学校はとにかく広すぎる、私一人だったら二時間は迷う自信はあった。
サシャの後ろをついていて行くと外の廊下に続いていた。ベンチで座って勉強してる人や、友達同士で喋っている人もいた。
サシャがこっちを振り向いて手を振っていた。どうやら寮に着いたらしい。
寮の中は綺麗で、学校ほどの大きさはないが、それでもだいぶ大きかった。
一つの部屋に二人だった。部屋の名札を見ると私の名前とサシャの名前が書いてあった。
「同じ部屋ですよ、ラッキーですね!」
知らない人よりは知っている人の方が良かったから本当にラッキーだった。
部屋の中はベッドが二つに勉強机が二つ完備されていた。
「広いですね!」
「二人でもだいぶ広いわね」
サシャははしゃいでいてベッドに飛び込んでいた。
わちゃわちゃとしているサシャを見ていると小動物みたいと思った。
外は既に夕暮れになっていた。
サシャはまだ暴れていたので先に備え付けのお風呂に入らせてもらった。
「サシャ、お風呂空いたわよ」
「わかりまし…た…ななななななな何やってるんですか⁉︎」
「どうしたの?」
「なんで下着だけなんですか⁉︎」
「…?別に私達だけだから」
「早く服着てください!」
「わ、わかったわよ」
サシャは急いでお風呂に入って行った。…服をそのまま置いていって。
その後のことは言うまでもない。
就寝時間になり、私達はそのままベッドに潜り込んだ。
サシャはゴソゴソとまだなにか動いていたが、私は眠たかったのでそのまま瞼が降りていった。
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