14話「闘技場2戦目•炎は冷めやらず」

ビ「……イッテェ!!!

 除細動器、三つ積んでたのに全部イカれたんだけど!?」


墨「まだ生きて――

 ……じゃねぇ、まだ立ち上がる気か?!」


ビ「伊達に“除け者”やってねぇんでな。

 しぶとく生き残るのには慣れてんだよ。

 高かったが……確かな効果はあったぜ」


除細動器。

使ってる火器の性能といい、身体改造といい……

個人でどうこうできる技術じゃねぇ。


……他派閥が絡んでやがるな。


墨「なぁ、お前らの工作ってよ……

 もしかして“親”が居んのか?」


ビ「……っ、チッ……

 ああそうだよ! 科学派から支援受けてんだよ!

 闘技場で宣伝してやる代わりに、望むモンを作ってやるってなぁ!」


……ふむ。

だが、それは――あり得ねぇ。


科学派は、腐っても“人類の進歩”を掲げてる。

上が完全にイカれるか、資金難でもなきゃ、こんな博打は打たねぇ。


――となると。


(……機構派、か)


まぁ、今は流すか。


墨「遺言は、それで終わりでいいな?」


ビ「言ってろ!

 それに俺はまだ――必殺技を出してねぇ!」


ビートが叫ぶ。


ビ「起動! レッグジャック!!」


次の瞬間、両脚が変形を始める。

金属がせり出し、エンジン音が響き、

脚部は――丸鋸と推進機構を備えた異形へと姿を変えた。


ビ「見せてやんよ……

 火力派・ビートの“全部”をなァ!!!」


丸鋸が唸りを上げ、先程とは比べものにならない速度で駆け出す。


墨「……それだけか?

 なら、俺には依然として勝てねぇよ」


ビ「……頭いい奴が言ってたぜぇ?」


墨「?」


ビ「“熱”ってのはな……

 後から、アガるもんなんだってよォ!!!」


――その瞬間、気づく。


さっきとは違う。

奴の速度が、今もなお上がり続けている。


しかも――


ビ「ひゃっハァァー!!!」


ブレイクダンスの要領で身体を回転させ、

丸鋸を押し付けてくる。


ギャリギャリ、と嫌な音が響く。

左腕が、悲鳴を上げている。


他の部位は生身だ。

ガードに使えるのは、必然――左腕しかねぇ。


ビ「まだあんだよォ!

 “奥義”って奴はなァ!!!」


刹那。

丸鋸が、朱色に染まり燃え上がる。


墨「……熱気でも攻めてくるつもりか!」


ビ「火に慣れてるオレェ!

 火に慣れてねぇオメェ!

 どっちが優勢かなんざ――

 火を見るより明らかダァ!!!」


灼熱が、闘技場を包み込む。

観客席から悲鳴と歓声が同時に湧き上がった。


――熱は、まだ冷めない。

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