第2話 光の下

月は毎晩、ほぼ同じ場所に現れた。

黒猫はそれを覚えた。


覚えたからといって、何かが変わるわけではない。ただ、夜空を見上げる回数が増えた。

足を止める時間が、少しだけ長くなった。


光は均等に落ちていた。

黒猫だけを照らしているわけではない。

それでも黒猫は、光の下にいる自分を意識した。


鳴き声が出た夜もあった。

小さく、短い声だった。

返事はなかった。


それで困ることも、悲しむこともなかった。

月は、返さないものだと理解していたからだ。


ただ、次の夜も黒猫は同じ場所に来た。

理由はなかった。

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