先日「やっと読み終えた本」というタイトルで
近況ノートに書いた「誰が勇者を殺したか」について
簡単な感想を書いた。
レイジさんより、
この作品どこがスズのツボにハマったか
詳しく教えやがれコノヤローと
感想文提出の命が下りました。
まぁ、教えやがれコノヤローなんて
そんな、お下品な言葉は、
レイジさんは使っておりませんが(笑)
では、ここから先は読書感想文になります。
ネタバレもあるので、ご注意をー。
読書感想「誰が勇者を殺したか」
スズの感想文のはじまりはじまり~。
まず、感想として二つの目線があります。
ひとつは、読者として。
もうひとつは、小説を書く側として。
読者目線の感想
【主な登場人物】
勇者 アレス
剣聖 レオン
聖女 マリア
魔法使い ソロン
ここまでが勇者パーティメンバー
王女 アレクシア
女王
預言者
従兄弟 ザック
他いろいろ
意外と、登場人物多かった。
序盤は、確かに飽きるかも。
パーティ仲間が、一人づつ勇者について語るんだけど、同じような話を何度も聞かされている感じがするから冗長気味に感じる。
でも、これが後半になるにつれて、大事だということがわかってくる。
何故なら、勇者は凡人むしろ凡人以下かもしれないから。
なのに、何故勇者になれたか?
彼の努力は、並々ならぬ努力。
出来るまで、やる。
それが、勇者だった。
剣術も癒しも魔法も、出来なかったのに。
そんな彼を見下していたはずのパーティメンバー。
でも、そのひたむきさと、実戦での戦い方を勇者から学び彼らの心は動かされた。
そして、魔王を倒した勇者は王女と結婚すると言われていたが、勇者はこっそりと王女に「僕は、帰らないので好きな人と結婚してください」と言って魔王退治に旅立つ。
では、勇者を殺したのが誰か。
パーティメンバーは、口を濁す。
そして、魔人が殺したと言う。
魔王を倒したのに、魔人に殺された?
***
ここからネタバレ
***
勇者アレスは、従兄弟ザックと共に魔王討伐育成の為のファルム学院に村から向かう。
ザックは幼い頃、魔王に侵略された国の救援に両親が行き亡くしている。
その為、叔父に引き取られ、その息子アレスと兄弟のように生活をしていた。
ザックとアレスは容姿が似ていた。
だが、アレスのほうが器用に剣術も魔法も癒しも使えた。
一方ザックは、どれも全く出来なかった。
ただ、アレスの稽古にいつも付き合っていた。
ザックは、アレスが村からファルム学院へと旅立つ際に王都までの付き添いとして同行した。
その途中、魔人が現われアレスは襲われ一命は取りとめたものの、水もなく体力はなく、痛みに苦しみ、まだ魔物がいるかもしれない森でアレスから俺を殺してくれ。そして代わりに魔王を倒して欲しいと頼まれる。
ザックは学院で自分はアレスだと語り、出来ない剣術、癒し、魔法をひたすら練習していった。
そして、魔王を倒した。
ザックは、魔王を倒すと仲間に本当のことを話す。
ファルム学院のある王都へ行く途中、魔人に襲われたこと。
「僕が勇者アレスを殺した」と。
そして、仲間たちと別れ旅に出る。
実は、アレスが勇者として村を出る前に一人の預言者が村に現われた。
アレスとザックが村にいた時、この村から勇者が現れると預言して行った。
村のみんなが、アレスが勇者だと言いアレスもそのら期待に従った。
だが、この預言者......。
実は、この国の女王だった。
巫女である女王は、世界を救うために
世界をリセットしやりなおす。
(Reゼロのように)
自分が自害することで、やり直しが出来た。
女王だけ記憶が残り、世界はそれまでのことが全て無かったことにされ、人々の記憶も失う。
だから、レオンを勇者にしてみたり、マリアやソロンを勇者にしてみたこともあった。
だが、それらは全て失敗した。
それで、白羽の矢がたったのがアレスだった。
しかし、運悪くアレスは魔人により殺されてしまった。
だが、傍にいたザックが行動することで、女王は様子を見ることになる。
そして、ザックは魔王を退治した。
ザックは、魔王退治後に女王に会う。
アレスに生き返って欲しいか?と聞かれる。
ザックが、罪悪感に囚われているのではないかと思い女王は聞く。
魔王を倒すのは、容易な事ではない。
このまま、魔王退治になれば女王ももはや世界のやりなおしをせずに済む。
そして、「勇者を殺したのは私だ」と告げる。
女王はアレスのいる世界に戻りたくないか?とザックに聞く。
ザックは、それをしてしまうと自分だけでなく仲間たちの苦労や努力も全て消えてしまう。
それを、無かったことにすることは出来ない。
そして、魔王退治すのは容易ではないし、またやりなおすのはしんどいでしょ?と言って、断る。
そして、女王に言う。
「僕が選択した。アレスを見殺しにしたのは僕だ。僕がアレスを殺した。だから、そんなつらそうな顔をしないでくれ」
どんでん返しが二回くらいあったような話でした。
考察
「誰が勇者を殺したか」
この問の答えは、様々な意見があると思う。
私の出した答えは、アレス自身、女王、ザックの三人の共犯。
三人には、それぞれ選択肢があった。
生きること、生かすこと、やりなおすこと。
でも、三人ともアレスが生きる未来を選ばなかった。
しかし、その選択はいずれも自分以外の人を思いやる気持ちからの選択だった。
勇者アレスが亡くなった。
本来なら悲しく終わる印象がある。
でも、この物語は逆だった。
読後感が温かい。
読んで良かったと思わせられた。
この感想だけで伝えきれないから、
是非読んで見てほしい。
作者目線
駄犬さんの書く小説には、描写が少ない。
かなりシンプルな描写だが、世界観はきちんと伝わっている。
謎解き要素としては、そのほうが話の流れが伝わりやすいのかもしれない。
そもそも、主人公が勇者かと思っていた。
しかし、それが全てカモフラージュだったという事が読んでみてわかった。
タイトルの勇者から、読者の読みをズラすことで謎を膨らませているのだと思った。
最後まで読むと分かるのだが、登場人物の背景がしっかり書かれていた。
特に、生い立ち。
勇者アレスなら、両親と叔父叔母とその息子ザック。
ザックに至っては、両親と叔父叔母とその息子のアレス、そして祖父。
ザックの両親や祖父似から、勇者となる動機や背景が伺える。
そして、スイーツ屋の後日談も余韻を残す。
すごくない勇者がすごかった。
実は、あとがきに駄犬さんの野望が書かれている。
「誰が勇者を殺したか」の勇者のように小説を書いていけば、それがいつか果たせるのではないか......。
という事が書かれていました。
すごくない勇者がすごいのは、駄犬さんの小説家としてのテーマなのかもしれません。