第3話 入学式
「後から来た癖に人の席を取るな。」
ツーブロックの少年が虎汰に詰め寄る。
「悪かったよ」
そういいながら虎汰は席を立った。
「おい待て。」
ツーブロックの少年が立ち上がった虎汰の肩をガシッと掴んだ。
「あぁ?」
虎汰は顔だけ振り返り、ツーブロックの少年を睨みつけた。
「間違えたんだったら”ごめんなさい”だろう」
ツーブロックの少年は虎汰を睨み続けている。
「…。ごめんなさい。」
虎汰は拍子抜けしつつも素直に謝ると、ツーブロックの少年はパッと肩に置いた手を離した。
「許す。」
そうつぶやき、カバンが掛けてある自席にストンと腰を下ろした。
ツーブロックの少年が席に座るや否や、雨宮が机の前に立つ。
「ねーねー!君名前は?!私雨宮!よろしくね!」
「
雨宮が差し出した手と玻璃田は握手をした。
「お前の名前は何という。」
玻璃田はくるっと首を虎汰の方へ向けた。
「と…刀刃。」
「刀刃か、良い姓だな。」
「…おう。」
虎汰は少し申し訳なさそうな表情で玻璃田へ近づいた。
「さっきは悪かったな…」
少し目線を落としながら虎汰は改めて謝罪をした。
「さっき謝られて許したはずだが、まだ俺に何か用か。」
玻璃田は鋭い目つきで虎汰を睨んでいる。
「まぁまぁそんな睨みなさんなってー!」
雨宮が玻璃田の肩をツンツンとつついている。
「睨み…あぁ…。俺の目つきで怒っていると思わせたか。それは申し訳ない。悪意はない。」
玻璃田は目頭を指で摘まみながらぐにぐにとマッサージをしている。
「俺は目が悪くてな、周りのものがよく見えないんだ。お前たちの表情も目に力を入れないとよく見えん。」
先ほどまで寄っていた眉間の皴がなくなった玻璃田の表情はとても柔らかく、優しそうな少年の顔になった。
「眼鏡持ってねぇのか?」
虎汰は不思議そうに玻璃田へ質問をした。
「あぁ、俺の家系では眼鏡が必要な場合、朱式術で作らなきゃならない。まだ上手く作れなくてな。だから仕方なく裸眼で生活しているんだ。」
はぁとため息交じりに玻璃田は答えた。
「まぁなんだ、よく目付きで勘違いされてしまうが悪意はない。これからよろしく頼む。」
玻璃田は虎汰に手を差し出した。
「俺も勝手に目付きで判断して悪かった。よろしくな。」
2人は握手し、その姿をニヤニヤと雨宮が見ていた。
「いーねーお2人さーん!」
雨宮はガバッと虎汰と玻璃田の肩に腕を乗せ、3人で肩を組んだ。
「これから学校生活沢山たのしもーねー!」
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しばらくすると教室にはバラバラと人が集まり始め
気づくとすべての机に生徒が着席していた。
「はーい!お待たせしましたー!始業式受けに体育館へ向かいましょー!みんなちゃんとマント持ってきてねー!」
鳴地が教室のドアからひょこっと顔をのぞかせ、教室内にいる生徒に声をかけた。
生徒達は各々マントを手に取り、ぞろぞろと教室を出て体育館へ向かう鳴地へついていく。
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この学校では、1年に1度入学条件を満たした者にのみ入学通知書が届く。
入学通知書が届いていない者は誰1人として入学は認められない。
また、入学通知書が届いた場合は辞退することも認められない。
その年その年で入学条件を満たした15歳の少年少女が集められるため、年によって入学者数には大きな差が出る。
なお、本年の入学者数は14人である。
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虎汰達は鳴地に連れられ、体育館へ向かう。
「さぁ、ここが体育館だよ」
鳴地が指さす方向には、体育館までの道にずらっと灯篭が並んでおり、立派な瓦屋根が乗った体育館が見えている。
体育館の入口は大きく開いており、開かれた扉はとてもきれいな赤色をしていた。
「立派だねぇ…」
雨宮は表情にわくわくとした感情を隠せずにいる。
「この先には全校生徒だけではなく、全先生、そして校長が待っている。」
鳴地はニコニコと笑顔で虎汰達へ説明を進める。
「知っていると思うけど、校長はこの学校で一番偉いだけではなく、血の管理をしている管理局でも長を務められている方だ。失礼な行動はとっちゃいけないからね」
鳴地の目元から笑顔が消えた。
「ま、相当変なことをしなければ大丈夫だから!入学式の流れは入学通知書に記載されている通り!それじゃあみんな家紋のついたマントを着よう!」
生徒達の表情からは笑顔が消え、ピリッとした空気が流れた。
各自バサバサとマントを着用し、2列に整列した。
『新入生入場!』
マイクを通した声と共に、体育館の中からは大きな拍手の音が響いている。
「それじゃあ行こうか」
鳴地が先頭に立ち、2列に並んだ生徒たちは姿勢よくまっすぐに体育館へと入っていく。
虎汰は体育館に入った瞬間、ごくりとつばを飲み込んだ。
無理もない。
天井は高く、太い木組みの梁が幾重にも組み合わさった重厚感のある内装。
そしてその体育館の中には、数千人が下から上まで座席をびっしりと埋め尽くし、全員が虎汰達へ拍手をしているのだから。
学校の体育館というには筆舌に尽くしがたい程とてつもない規模である。
虎汰達は壇上の前に並んだ椅子の前に位置づいた。
『新入生、着席』
合図と同時に虎汰達は着席し、体育館内の拍手も収まった。
『それでは、本年度の入学式を執り行います。それでは
シンとした体育館内にコツコツと革靴の乾いた音が響く。
『えー、皆さん初めまして。私悠久学舎の校長をしております。堺と申します。』
壇上には背の高い老人が立っている…が、、その目には何か掴みどころのない力が宿っているように見えた。
『今まであなたは凄い君は凄いともてはやされていたのも今日までです。』
校長の少し長い髪が風にあおられゆらゆらと揺れている。
『あなた達はここにいる人達の中で一番下。一番弱いことを自覚しなさい。間違っても”俺は違う”、”私は違う”など勘違いをしないように。』
『さて、本校入学時は私からクラス名を付ける習わしがある。』
『あなた達のクラス名は【
『以上。』
淡々と話す校長の声に虎汰達はじわじわと汗をかき、常に背筋が凍り続けている感覚に襲われた。
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『それでは以上で入学式を終了します!』
進行役の女性の声が響き渡り、入学式は無事終了した。
虎汰達は再度2列となり、拍手を受けながら体育館を後にした。
「っっっっ怖かったぁぁぁ!!」
止めていた息を一気に吐き出すかの如く、雨宮は玻璃田の机の前で声を漏らした。
「おめぇ汗びちゃびちゃじゃねぇか」
玻璃田は自分の椅子に座りながら滝のような汗をかいている。
「お、お前は怖くなかったのか…」
玻璃田は鋭い目つきを横に立つ虎汰へ向ける。
「まぁ怖かったし、圧も凄かったけど、俺は親父の方が怖かったっつーか…」
「えぇー?!うっそー!めちゃくちゃ怖かったっしょー!?」
先ほどまで誰もいなかったはずの虎汰の隣に見慣れない青年が立っている。
「誰だお前。」
虎汰はポンパドールの髪型をした男に話しかける。
「え?私?校長!」
次の更新予定
少年の血液型は刀型。繋ぐべきものは血か人か。 錦 美和 @nishikimiwa
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