第2話 境界線
大きな扉を超えると、果てしない平野がどこまでも続いていた。
数メートル先に雨宮と男性が立っていた。
「やぁ!
茜色の長いロングコートを羽織り、中は白シャツに赤黒いネクタイ。
下は黒パンツと編み上げブーツを履いた身長150㎝程度の男性が手をひらひらとこちらへ向けて振っていた
「はい!本日よりお世話になります刀刃 虎汰と申します!」
虎汰はピンと伸ばした指先を体の側面に当て、深々と頭を下げた。
「えぇ?!私の時と態度違いすぎない?!」
深々と頭を下げる虎汰を見ながら霖は驚く。
「当たり前だ。目上の方に失礼な態度をとるわけないだろう。」
虎汰は頭を下げながら鋭い眼光を霖へ向けた。
「いやいやいや!そんな畏まった態度はしなくていいよ!固すぎるよ!!」
茜色のロングコートを羽織った男は申し訳なさそうに頭を上げるように言った。
「さて!まさか一緒に登校してくる人がいるなんて全然思わなくてめちゃくちゃびっくりしている僕だけど、元々仲良しとかなのかな?」
「全くの他人です。こんな奴知りません。」
虎汰は間髪入れずにぴしゃりと言い放つ。
「知らないなんてひどいなぁー!自己紹介したじゃーん!」
霖は頬を膨らましながら虎汰の後ろで文句を言った。
「あ、自己紹介といえばぼくの自己紹介がまだだったね!ぼくは
ニコッと笑顔で鳴地は2人へ挨拶をした。
「鳴地先生、どうぞご指導ご鞭撻のほどよろしくお願いいたします。」
虎汰は再度深々と頭を下げる。鳴地はおろおろしていた。
「へぇー、じゃあ先生も
「お前は失礼すぎるぞ。少しは黙ってろ!!!」
「2人共仲いいね!!」
鳴地は咳払いをひとつして、話を続ける。
「もちろん朱式術使えるよ」
「えーー!見たい見たーい!」
「うるせぇ!!」
騒ぐ2人の間に、突然大きな土の壁が勢いよく生成された。
「これがぼくの朱式術。土を操る術さ。まぁこれくらいの土壁だったら大体の地型の血液を持つ人は使えるけどね」
ヘラヘラっと右手で頭を掻きながら鳴地は続ける
「君たちはこれから、自身の血液型について学ぶと同時に、銘家の血を引く者だけが持つ
勉強は大変かもだけど先生と一緒に頑張ろうね!」
「はい!よろしくお願いいたします!」
「よろしくね!先生!」
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「さて、それじゃあ早速校舎に向かおうか」
鳴地が校舎へ案内しようと歩き始めた時、雨宮は何もない平野をぐるっと見渡した。
「でも先生何もないよ?」
鳴地は笑みを浮かべながら先ほど通った大きな扉を指さした。
「最悪あの扉を突破されたとしても、校舎には簡単には入れないようにするために隠されているのさ」
くるりと扉を背に向け再度鳴地は歩き出す。
「境界線までいかなくちゃ」
しばらく歩くと鳴地がぴたりと足を止めた
「うんうん、ここでもう大丈夫だよ。それじゃあ2人共横に並んで」
鳴地が2人を横に並ばせ、自分も同列に立った。
「何があっても絶対に動いちゃいけないよ。境界線からはみ出た分はちぎれちゃうからね」
屈託のない笑顔でコートの内ポケットからスマートフォンを取り出し、どこかへ電話をかけ始めた。
「それじゃあお願いしまーす」
電話を切った瞬間、先ほどまで何もなかった場所に、巨大な城のような建物が聳え立った。
虎汰と雨宮は目を見開く。
「さぁ、校舎を案内するよ」
コツコツと石畳の上を歩きながら、鳴地は説明を始めた。
「ここが君たちの学び舎”
先導する鳴地の後ろでは虎汰と雨宮がきょろきょろと周りを見渡しながらついて歩いている。
「おっ、見えてきたね」
鳴地が指をさす先には朱色で出来た手すりに、薄い茶色の木でできた床版が組み合わさっている橋が川にかかっていた。
「あの赤い色の橋の先にある大きな門が正門。あそこには門番の人が24時間ついてるから、ちゃんと挨拶するんだよ」
雨宮が橋の手すりに手をかけ、にやつきながら鳴地を呼び止めた。
「先生!この橋渡るときって息止めたほうがいいですか…!」
「黙れお前。」
「虎汰君私に厳しくなーい?!」
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「こんにちは」
「おぉ!鳴地先生!その子たちは新入生か!」
鳴地が門番へ話しかけると、1人の屈強な男性がガハハと笑いながら虎汰と雨宮に目を向けた。
「よぉ!俺はここで門番をやってる
土倉と名乗る男はバンバンと鳴地の背中を叩いた。
「はい!よろしくお願いいたします!」
鳴地は叩かれるたび体が前後にぶれながら、元気よくあいさつした。
「はい!はい!私雨宮!土倉さんよろしくね!」
「おう!雨宮な!覚えた!よろしくな!」
雨宮は握ったこぶしを前に差し出すと、土倉は優しく合わせた。
「それじゃあこのまま校内へ入ろうか。君たちの教室へ案内するよ」
「じゃーねー!土倉さん!まったねー!」
「おーう!またなー!」
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鳴地はガラガラと音を立てて教室のドアを開けた。
「ここが君たちが使う教室。クラス名は始業式で発表されるからお楽しみに!」
黒板と教壇、並ぶ机と椅子。木の色は薄赤を帯びた濃茶色で、落ち着いた印象だ。
「ほかにどんな子たちが同じクラスメイトになるんだろうね!ね!虎汰君!」
「そうだな。」
「じゃあ一旦校内の案内はここまでとしようかな」
「えー!!もっと!もっと色々見たいよ先生!」
雨宮はがっくりとした表情で先生に詰め寄る
「他にもまだ私たちがこれから住む寮とか、移動教室とか、体育館とか…えっとえっと他にも沢山あるよね!?」
自分の指を折りながらあれもこれもと様々な場所の名前を列挙している。
「もちろん紹介するよ!でもそれはみんなが揃ってからにしよう。まずは始業式に出なくっちゃ。とりあえずみんなが集まるまでこの教室で待っていてくれるかい?あ、ちなみにトイレは教室でて右に曲がった突き当りにあるからね。」
鳴地はニコニコと笑顔で雨宮に教室で待つよう諭した。
「席は空いている好きなところに座ってもらって大丈夫だから!それじゃあ僕は他の生徒のお迎えにまた戻らなくちゃだからいったん失礼するね!」
そう言い残し、鳴地はスタスタと教室を出ていった。
「えー!席だって!どうする?!どこ座るー?!」
雨宮はぱたぱたと机の合間を縫いながら、自席を決めようとしている。
「俺は別にどこでも…」
虎汰は腕を組みながら小さくため息をつき、近くにあった椅子に座ろうとする。
「そこは俺の席だ。カバンが掛けてあるのが見えないのか。」
声のした教室のドアをふと見ると、青緑色の髪の毛をツーブロックにした目つきが鋭い男が立っていた。
「あぁ??」
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