愛飢え女、柿食いゴリラ、刺しすぎ颯太達ってどゆこと!?

αβーアルファベーター

どゆこと!?

◇◆◇


プロローグ


その世界では、

感情が魔物になる。


愛をもらえずに育った者は、

胸に「空洞」を抱え、その空洞が限界を超えると――

姿を変えるのだ。


◇◆◇


「……私、誰かに必要とされたかっただけなのに」


愛飢え女は、森の中央で膝を抱えていた。

名前はもうない。呼んでくれる人がいなかったから。


その時だった。


バキィッ!!


木々をなぎ倒しながら現れたのは、

――柿食いゴリラ。


全身は毛むくじゃら、

片手には熟れすぎた柿、

もう片手にも柿、

口の中にも柿。


「ウホォォ!!(甘さが足りん!!)」


この世界では有名だった。

柿への執着が歪み、理性を失った存在。

愛を知らず、甘さだけを求め続けた悲しき獣。


「来ないで……!」


愛飢え女が叫ぶ。


ゴリラが跳ぶ。

柿が飛ぶ。

意味は分からないが、命の危機だ。


――その瞬間。


「そこまでだ」


空から降ってきたのは、

刺しすぎ颯太だった。


「え、誰?」


「俺?

元日本の会社員。

トラックに轢かれて転生した者――颯太」


彼の手には、

伝説のエターナル・ブレード・オブ・とりあえず刺す


「理由は後で説明する!

とにかく――」


颯太は走った。


ザシュッ!

ザシュザシュッ!!

ザシュザシュザシュザシュッ!!!


「いや刺しすぎじゃない!?」


愛飢え女のツッコミが空に響く。


ゴリラは、

刺され、

刺され、

刺されすぎて――

ついに動きを止めた。


柿が、

地面に転がる。


◇◆◇


静寂。


ゴリラは、消えなかった。

ただ、ゆっくりと小さくなり、

一匹の、寂しそうな猿になった。


「……甘いものを食べれば、

満たされると思ってた」


猿は言った。


「でも、違ったんだな」


颯太は剣を下ろす。


「刺しすぎたのは悪かった」


「自覚あったんだ」


愛飢え女が言う。


颯太は彼女を見て、

優しく笑った。


「君も、同じだ」


「え……」


「愛に飢えると、人は怪物になる。

でも――

誰かが手を伸ばせば、戻れる」


颯太は、何も特別な魔法を使わなかった。

ただ、

彼女の手を取った。


その瞬間、

胸の空洞が、少しだけ温かくなる。


◇◆◇


エピローグ


後日。


愛飢え女は名前を取り戻した。

猿は柿を分け合うことを覚えた。

颯太は――


「じゃ、次の世界行くから」


「軽っ!?」


「刺しすぎ役は忙しいんだ」


彼は笑って、光に溶けた。


残された二人は顔を見合わせる。


「……結局、

どういうストーリーだったの?」


猿が首をかしげる。


愛飢え女は、少し考えてから言った。


「たぶんね」


「?」


「意味わかんないけど、

誰かに必要とされた話」


「だって、ひらがなだもんね!」


森に、

柿の甘い匂いが漂っていた。



――完。


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