第4話 商業ギルド
門へ到着すると門番が検問を行っており身分証明書の提出を求められた。
当然そんな物を持っているわけでもなく門番に尋ねてみる。
五万ゴルを支払えば仮入街証を発行されギルドへ登録するなどして身分証明証が発行されれば、それを提出する事で9割が返金される事が説明される。
「私は商人になろうと思ってこの街を訪れました。商品はある程度持っていますので街で換金してからお持ちすると言う事では駄目でしょうか、今は持ち合わせが無いもので」
「うーん、それは規則上駄目なんだがどんな商品を持っているんだ? 見た所何も持って無さそうだが」
その質問に対して軽トラの荷台に積んでいた納品のための商品であるワインを取り出してみた。
そんな高級品ではないが味はそこそこ良いものだ。
「お前はアイテムボックス持ちなのか? それは将来有望だな」
「こういったお酒や香辛料、調味料、食肉などを扱っております。よければこのワインを差し上げますので、預かり金を待っていただけませんか?」
門番は早速ワインのコルクを抜きグラスに注いで一口飲むと言った。
「このワインはとても上物の味だ。これならギルドへ売ればいい金額になるだろう。わかった、とりあえず門は通してやるから換金をしたらすぐに通行税を払いに来てくれよ」
「ありがとうございます。私はジュンと言う名前ですのでお待ちくださいね」
門番に商業ギルドの場所を聞き早速街の中へ入った。
十分ほど歩くと教えられた商業ギルドを見つけることが出来た。
扉の前には警備員の様な人が立っており要件を告げると扉を開けてくれた。
扉をまっすぐ進むと、受付があり商業ギルドへの登録と商品の売却をしたいと告げる。
「いらっしゃいませ、商業ギルドへの登録は五千ゴルが必要となります」
「あの、今持ち合わせが無いもので先に商品を売却してからでは駄目でしょうか?」
「ギルドカードが無いと売却金額は半額になりますがそれで構いませんか?」
「はい、五千ゴル分の商品を売ってから登録を済ませ残りの商品を売りたいと思います」
買取カウンターを案内されて向かうと禿げ頭で気難しそうなおっさんが腕組みして立っていた。
「このギルドで買い取りを担当しているジョセフだ。何を売りに来た」
「私はこの街で商売をしたいと思っているジュンと言います。食品と酒類、香辛料の在庫を持っていますが、ひとまずギルド証無しで五千ゴル分の買取をしていただきたいと思います。残りはその後で売らせていただければと思います」
「わかった。五千ゴル分だなそれなら香辛料を見せてもらおうか」
そう言われたので黒コショウと塩、砂糖の在庫を取り出してみた。
「これでいかがですか?」
「塩に砂糖に胡椒だと? 塩も砂糖もなんでこんなに真っ白なんだ?」
「これは、私の出身地での独特な技法で作られた商品です。雑味も少なく気に入っていただけると思いますがいかがでしょうか?」
【商いの理】のスキルボードから取得したセールストークスキルが中々いい仕事をしてくれているようだ。
因みにこの理では五段階以降からアイテムボックスのスキルも現れてくる。
「五千ゴル分だなその塩一袋分で十分だ。他の砂糖や胡椒だとそれだけで大きく超えてしまうから勿体ないだろう」
「ありがとうございます。ギルド証を取得してからまた来させていただきます」
ジョセフから五千ゴルを受け取ると登録カウンターへ戻り商業ギルドの登録証を手に入れた。
「おめでとうございますジュンさんは商業ギルドのEランク会員として登録されました。今後百万ゴルの商取引を行えばDランクへ、一千万ゴルの取引を行えばCランクへそれ以降は十倍額の取引を行うか、その二割の額の納税を行うかを達成されればBランク、Aランクと上がっていきます。Sランク会員になるためにはそれ以外にも特別審査を行う事になります」
「あの? ランクが上がるとどんな特典があるのでしょうか?」
「ランクが上がれば一ランク上がるごとに商業ギルドとの取引が一割づつお得になります」
「なるほど、それは魅力がありますね。早くランクが上がるように精進いたします」
ギルド会員証を手にした俺は再び買取カウンターへ戻った。
「ジョセフさん、残りの商品を売りに来ました。お酒や食肉もあるのでぜひ査定をお願いします」
「ふむ、それは構わないが自分で店を構えて売った方が利が大きいとは思わないのか?」
「今は時間が惜しいので出来ればギルドで買い取っていただきたいと思います。仕入は何とかなると思いますので」
「解った。売りたいものを全部出してみな」
何かあった時のために俺のアイテムボックスにある商品を一種類一つずつ残して、それ以外をすべて出してみた。
「結構な量があるな。早速査定させてもらおう」
そう言って査定を始めて三十分程たちすべての査定が終わったようでジョセフに呼ばれてカウンターへ戻った。
「しめて525万ゴルになる。内訳はこの紙に書いてあるから確認して納得がいけばサインしろ」
査定額が書いた紙を受け取る。
俺が軽トラの荷台に積みこんでいた商品は、予定通りの配達先に届けた場合で精々十万円を超える程度だったが、それが525万ゴルとはいったいどんな相場なんだ? と思い内容を確かめると黒胡椒がもっとも高価だったようで五百グラムが入ったホールブラックペッパーが300万円もしていた。
日本酒が一本一升で1万円、焼酎が一升2万円、ウイスキーが5万円、ワインが1万円から15万円と凄い値段だった。
対して食肉に関しては輸入物の肉だったこともあったが、概ね日本での卸価格と差異が無い値段だった。
サインをしてジョセフに査定表を戻す。
「ほら、525万ゴルだ領収を書いてくれ。この控えを登録カウンターへ持っていけば早速ランクが上がるぞ」
「良い取引をありがとうございます」
この国での通貨は紙幣は無いようで、金貨、銀貨、銅貨によって支払われた。
金貨が10万ゴル、大銀貨が1万ゴル、小銀貨が5千ゴル、白銅貨が千ゴル、銅貨が百ゴル、鉄貨が十ゴル、小鉄貨が1ゴルという感じだ。
価格は刻印がしてあるのでわかりやすい。
三度、登録カウンターへ戻り取引の控えと共にギルド証を提出する。
「ジュン様! 早速525万ゴルもの取引を……ありがとうございます。早速ランクアップの手続きをさせていただきます」
「ああ、よろしく頼むな」
Dランクへと上がったギルドカードを持って早速門番の元へと戻った。
門番へギルドカードを提出して5000ゴルを払い門を後にする。
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