第3話 この星の場所

 ダンジョンに戻るとすぐに三枝さんから尋ねられた。


「どう、覚醒したりしましたか」


 そう尋ねられた俺は少し思う所があってこう答えた。


「いえ、何も変化はありませんでした。やはり俺は否覚醒者だったようです」


 三枝さんが昨日俺に話してくれたようにリーダウトというスキルを持っているのであればきっと今の俺の発言もばれてしまうだろう。


「そう残念だったわね。私も何も変化はありませんでした。でも魔王を倒すためにはスキルポイントを貯めてもっとスキルを獲得していかなければならないといけないので私はダンジョンでの狩りを続けるわ。風間さんは怪我をしたんじゃ割に合わないから城に戻っていてください」


 そう伝えられた。

 なんだ……昨日の三枝さんの発言は嘘だったのか?


 そう感じた俺はこのまま城で過ごす事は危険なんじゃないかと思い、城に戻ると昨日の召喚部屋に行き「ちょっと街を散策してきます」と門番に伝えると軽トラに乗り込んで城から旅立った。


 そのまま王都と呼ばれる街からも離れ街道沿いを進み、誰もいなさそうな場所の岩陰をを見つけて車を止めた。

 その場所で女神からもらった加護を試してみる。

 スキルボードを広げると理は十種類すべてが選べる状態だった。


 この理は一段階目ではすべてスキルポイント1で獲得できる。

 理を獲得すれば樹形図のように広がりをみせ各関連項目に二段階目のスキルが表示される。

 二段階目のスキルを獲得するには2ポイント、更に三段階目のスキルポイントを獲得するには3ポイントというように獲得に必要なポイントも増えていく。

 俺が女神にサービスで貰っていたポイントは千ポイントあり、かなり樹形図を充実させることが出来た。


 言ってしまえば俺はスーパーマンになってしまった。

 出来ない事を見つける方が難しいと思う。

 開拓から治療、武器を使った戦闘、魔法を使った戦闘、異世界でのお約束能力の鑑定やアイテムボックス、錬金や魔法薬の作成、鍛冶スキル、なんでもありだ。


 ステータスも獲得したスキルによって関連項目が成長するシステムだったようで力、防御力、敏捷、魔力、精神力、運とすべてが高い数値を示している。

 まあ比べるのは俺がスキルボードを獲得した時点での数字だけどな。


 ちなみにスキルボードを最初に見た時点ですべて10だったステータスが現時点ではすべての数値が10000を超えている。

 俺はこれだけのステータスやスキルを持った上で何をするべきなのだろう?


 俺の出した答えは、とりあえず何もしないだった。

 今の俺が各国の戦争に介入してもただの弱い者いじめになるだろうし、そんなのは戦争ですらない。

 この国の関係者や三枝さんに見つからないような場所に行き、のんびりとスローライフでも楽しもうと思った。


 最悪それによって地球に戻る事が出来なくなったとしても、この世界を楽しむことくらいは出来るだろう。

 

 まず【忍びの理】から派生されたマップ機能を使って現在地の把握を行う。

 グーグルマップの様に拡大縮小が可能なその地図には驚愕の事実があった。


 この世界のマップはほぼ地球と同じであった。

 国や街の存在こそ違えど、地形に関しては五大陸や島などほぼ地球と同等である。

 地球では科学の進歩により干拓された場所なども多いが、それ以外の部分では同じなのだろう。


 これが示す答えは何だろう?

 女神に再び会う機会があれば教えて貰えるのかな?

 でも現時点では今日のご飯にも困る状況であるので街を探す事にした。


 現在地は地球に当てはめればギリシャのアテネに相当する場所であり、アルバニア方面に向けて移動する事にした。

 軽トラの燃料は満タンで五百キロ程は走行できると思うが、道の悪さなんかを加味して考えれば三百キロ程が限界かとも思う。

 暇を見て錬金や生産スキルを使って魔力で走れるようにしておこう。


 街道沿いに百キロほど進んだところで街を発見する。

 改めて思うが、この星は文明的に考えれば地球の中世程度の発展度合いであるだろう。

 年代的に考えれば十六から十七世紀あたりの発展なのかな?

 いわゆるルネサンス後期という所か。


 街の外壁に近づいた場所で軽トラから降りアイテムボックスへと収納する。

 転移魔法も使えるようにはなっているのだが一度行った場所へしか転移できないという制約があったから、現時点では使いどころが難しい。

 そこでふと思った。

 一度行った場所に転移できる?

 それって地球でも構わないのか??


 早速地球の日本をイメージして転移を発動してみる。

 ごっそりと魔力が抜けるような感触はしたが転移は発動できなかった。


 そして流れる脳内アナウンス。

 指定された地球、東京都、港区への転移には二億九千四百万キロ分の能力が足りません。

 指定された場所への転移を行うためには転移スキルを23段階まで成長させる必要があります。

 な、なんと戻るための回答も見えてきた。

 初期移動距離が百キロで一段階ごとに移動距離が倍になる転移スキルは現時点では十段階まで育てていたがあと234ポイントを貯めて注ぎ込めば家に帰れるらしいぞ。

 うーん、しかし三億キロの距離ってなんだっけ?

 ふと思い出したのは地球と太陽の距離が一億五千万キロだったような覚えがある。

 するとこの星がある座標は太陽を挟んだ地球の公転軌道上にあるのではないかと思い当たる。


 とりあえずの目標的な物が見つかったので明日からはスキルポイントを稼ぐためにダンジョンへ潜るかな? と思いながら街へ向った。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る