第2話 ダンジョン探索したら……

 気がつけば俺は海に落ちた時に見た魔方陣の様な紋様が明るく光っている中心に付近に軽トラと共にいた。

 そばには一緒に落ちた大型バイクに乗った人もいた。


 ヘルメットの首元からは長い髪が見え、着用しているライダースーツの胸部には明らかに俺には無い膨らみが主張している。


「この世界をお救い下さい勇者様」


 魔法陣の光が消えたかと思った瞬間に女性と言うより女の子と言った感じの声で話しかけられた。


 俺は反射的に「イヤイヤイヤそんなの無理です」と答える。

 対してバイクの女性は冷静にヘルメットを脱ぎ「詳しくお話を聞かせていただけますか?」と返答をしていた。


 どうやらここはお城の中の様で声をかけてきた女の子は、この国ガルシア王国の王女だと言う事だった。

 第一王女でリーリアという名前だそうだ。

 王や王子は魔王軍との最前線に出陣しており日々民を守るために戦っているそうだ。

 場所を移し、いかにもお城の食事会場といった感じの場所で詳しい話を聞くことになった。


 この世界は魔王と呼ばれる存在があり、世界の征服をたくらみ世界中の国家を戦争に巻き込み罪もない人々が殺されたり隷属されたりしている。

 その魔王を倒すためにはこの世界の人類では能力が足らず、唯一の可能性として他の世界から召還した勇者であれば可能性があるという話だった。

 召喚された勇者には特別な加護があり魔王を倒すだけの力を備えているはずだと説明される。


 だがしかし、俺は答えた。


「俺は地球でも探索者にさえなれなかった否覚醒者ですから恐らくそんな能力はありませんよ?」


 俺の返事を聞き王女様は残念そうな視線を向けた。

 王女の興味はもう一人の女性に移り返答を求める。


「その話が事実であれば王女様に協力して、この世界の脅威に立ち向かおうと思います」

「まあ、それは大変うれしいお返事です。あなたは覚醒者なのでしょうか?」


「私は元居た世界では覚醒者として国の部隊の中で活動していました。ちなみに世界で三人しかいなかったフォースリーズンです」

「それは素晴らしいですわ、きっと貴女が勇者様ですわね。もう一人の貴方は勇者の召喚に巻き込まれただけの一般人の方なのでしょう」


 そう、にべもなく告げられ俺も困った。

 フォースリーズンって事は四つの理を身につけてたって事か、地球ではその存在の発表すらされてなかったはずだな……


「あの? 俺は元の世界に戻れるのでしょうか?」

「魔王の討伐がなされれば女神の加護が発動して元の世界に戻れます」


「じゃあそちらの女性、あ、お名前は? 俺は風間純っていいます」

「私は三枝美鈴さえぐさみすず、地球では自衛隊のダンジョン対策特務隊で一尉の階級についていました。風間さんでしたね。この世界には知り合いもいない状況です。たとえ戦えなかったとしても私のお話し相手として協力をお願いしてよろしいですか?」


「そんな事でよかったらぜひ協力させてください」

「世界が違うのでもしかしたら風間さんも覚醒者になれるかもしれませんし、よろしくお願いします」


 そんな会話を終えると俺たちはそれぞれ個室に案内された。

 食事は部屋に運ばれ結構おいしかった。

 きっとダンジョン食材をふんだんに使用した料理だな。


 俺は食品卸企業に勤めていたから食材には結構詳しい。

 だが改めて今日起こった出来事を冷静に考える。

 三枝さんは世界でもトップレベルの覚醒者であることはまあいいだろう。


 だが、あの胡散臭い王女の説明でなんで簡単に納得したのかな?

 そんな事を考えていると部屋の扉がノックされる。

 ドアを開けると三枝さんが立っていた。


 王女に用意されたこの世界の服装に着替えている。

 改めて見ても、めちゃくちゃ奇麗な人だなと思った。


「どうしたんですか? 三枝さん」

「きっと貴方が私が簡単に王女の言葉を受け入れた事を不思議に思っているだろうと思ってお話ししに来ました」


「まさに今そのことを考えていたんですよ」

「私がフォースリーズンである事は伝えましたね? その中で獲得したスキルにリーダウトというスキルがあってね嘘だとすぐわかるの」


「へえ、スキルって凄いんですね」

「それでさっきも言ったけどこの星で魔物を倒したら違う結果があるかもしれないから、明日早速私と一緒にダンジョンへ行ってみない?」


「ぜひ、ご一緒させていただきます」


 翌日、約束通りに城の兵士に案内されながらダンジョンへと向かう。

 ダンジョンに入って最初の魔物スライムを倒した時だった。


 あれ? ここはどこだ??


 気づけば三枝さんも城の兵士も誰も居ないただ真っ白なだけの空間に俺は居た。


「来たわねジュン」

「え? 誰??」


「私はアストラーゼ簡単に言うとこの星サリバンの神ね」

「神様ですか、なんか凄いですね」


「感動薄くない?」

「まあ昨日から色々あり得ない事ばかり起こっているので」


「そうね、王女の話を聞いてどう思った?」

「胡散臭いとだけ」


「いい感性しているわね。この世界に居る魔王はただの魔族の王と言うだけで決して純粋な悪ではないわ。当然国の王様だから戦争があれば敵を殺すし、敵対国からすれば悪でしょうけど。むしろ戦争は常に人族国家が他国に攻め込むことで起こる場合がほとんどね」

「やっぱりな。でもそう言われても女神様の言葉をそのまま信じ込むのも同じだと思うんだけど」


「ハハッ、女神と言われても信じないとか性格捻くれてるとか言われるでしょ?」

「まあ、よく言われます。それで女神様はなんで俺を呼んだの?」


「あなたに真実を見極めて行動してもらおうと思ってね。私の加護を最大でつけておいたわ」

「それは、ありがたいですけど加護って覚醒者になれたっていう事ですか」


「その理解でいいわ。スキルポイントもそれなりにおまけしたランクXの加護、変な召喚に巻き込まれたお詫びに差し上げるわ」


 それだけ伝えられるとスライムを倒した直後のダンジョンに戻された。

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