第24話 世界の視線


 


 結界崩壊から、

 一夜。


 


 世界は、

 完全に、

 目を、

 覚ました。


 


 早朝の、

 ニュース。


 


 画面に、

 映るのは、

 崩れた、

 都市型ダンジョン。


 


 救出される、

 生徒たち。


 


 そして――

 剣を、

 持つ、

 少女。


 


 「探索者育成学園、

 合同実習中に、

 発生した、

 異常事態――」


 


 「剣神級探索者、

 三橋さなえが、

 単独で、

 鎮圧」


 


 アナウンサーの、

 声は、

 抑えているが、

 隠しきれない、

 興奮が、

 あった。


 


 国内。


 


 海外。


 


 ネットは、

 炎上し、

 分析され、

 分断される。


 


 「英雄だ」

 「危険だ」

 「管理すべきだ」


 


 言葉が、

 剣のように、

 飛び交う。


 


 その頃。


 


 探索者ギルド、

 本部。


 


 緊急会議。


 


 大型モニターに、

 各国の、

 反応が、

 映し出される。


 


 「米州連合、

 公式声明」


 


 「剣神の、

 能力評価を、

 求める」


 


 「欧州同盟、

 共同監視案、

 提出」


 


 「東方圏、

 非公式接触、

 開始」


 


 葛城あきらは、

 頭を、

 押さえた。


 


 「……来たな」


 


 「予想より、

 早いですね」


 


 鷹宮が、

 冷静に、

 言う。


 


 「剣神は、

 兵器でも、

 象徴でも、

 ない」


 


 「だが、

 世界は、

 そう、

 見ない」


 


 会議室の、

 隅。


 


 政府代表の、

 桐生が、

 腕を、

 組んでいる。


 


 「国際会議が、

 招集されます」


 


 淡々と、

 告げる。


 


 「剣神の、

 扱いについて」


 


 「出席を、

 求められる、

 でしょう」


 


 葛城は、

 睨んだ。


 


 「……本人を、

 出す気か」


 


 「可能性は、

 高い」


 


 その言葉に、

 空気が、

 重く、

 沈む。


 


 一方。


 


 探索者育成学園、

 医療棟。


 


 さなえは、

 ベッドに、

 腰掛け、

 包帯を、

 巻かれていた。


 


 「怪我は、

 ほぼ、

 ありません」


 


 医師が、

 苦笑する。


 


 「……むしろ、

 周囲の、

 建物の、

 方が、

 重症です」


 


 「そう、

 ですか」


 


 さなえは、

 小さく、

 頷いた。


 


 窓の外。


 


 報道車両。


 


 カメラ。


 


 人、人、人。


 


 「……見られて、

 ますね」


 


 レーシャが、

 呆れたように、

 言う。


 


 「世界中から」


 


 「正直、

 苦手です」


 


 さなえは、

 本音を、

 漏らす。


 


 「剣は、

 向き合えば、

 いい」


 


 「でも、

 視線は……」


 


 レーシャは、

 少し、

 優しい声で、

 言った。


 


 「それでも、

 背負うって、

 決めたでしょう?」


 


 「剣神として」


 


 さなえは、

 目を、

 閉じる。


 


 「……はい」


 


 その時。


 


 病室の、

 テレビが、

 切り替わる。


 


 海外の、

 ニュース。


 


 通訳付き。


 


 「我々は、

 剣神を、

 脅威と、

 断定しない」


 


 金髪の、

 女性議員。


 


 「だが、

 無視することも、

 できない」


 


 「対話が、

 必要だ」


 


 次の、

 画面。


 


 別の国。


 


 「剣神は、

 均衡破壊者だ」


 


 強硬な、

 声。


 


 「抑止力が、

 必要だ」


 


 テレビを、

 消す。


 


 静寂。


 


 「……私、

 話せません」


 


 さなえが、

 言う。


 


 「剣でしか、

 示せない」


 


 レーシャは、

 微笑んだ。


 


 「それで、

 いい」


 


 「言葉は、

 後から、

 追いつく」


 


 同じ頃。


 


 海外、

 某所。


 


 地下会議室。


 


 壁一面に、

 剣神の、

 映像。


 


 スロー再生。


 


 解析データ。


 


 「……完全に、

 人の、

 反応速度を、

 超えている」


 


 白衣の、

 研究者。


 


 「いや、

 違う」


 


 軍服の、

 男が、

 首を、

 振る。


 


 「反応して、

 いない」


 


 「結果を、

 先に、

 見ている」


 


 沈黙。


 


 「……予測か」


 


 「否」


 


 男は、

 低く、

 言った。


 


 「理解だ」


 


 「世界を、

 斬っている」


 


 別の、

 影が、

 口を、

 開く。


 


 「――欲しいな」


 


 「剣神」


 


 その言葉に、

 誰も、

 反論しなかった。


 


 話は、

 戻る。


 


 さなえは、

 学園の、

 屋上に、

 立っていた。


 


 夕暮れ。


 


 風が、

 強い。


 


 街が、

 広がる。


 


 守ると、

 決めた、

 世界。


 


 「……重いですね」


 


 小さく、

 呟く。


 


 レーシャは、

 肩を、

 すくめた。


 


 「剣神って、

 そういう、

 もの」


 


 「でもね」


 


 少し、

 間を、

 置いて。


 


 「あなたは、

 もう、

 一人じゃない」


 


 学園。


 


 ギルド。


 


 守られた、

 人々。


 


 そして、

 敵も。


 


 すべてが、

 彼女を、

 見ている。


 


 三橋さなえは、

 剣の、

 柄に、

 触れた。


 


 「……見られて、

 いいです」


 


 「逃げません」


 


 夕日が、

 剣に、

 反射する。


 


 世界は、

 剣神を、

 知った。


 


 もう、

 後戻りは、

 できない。


 


 だが、

 それで、

 いい。


 


 剣神は、

 世界の、

 中心に、

 立つ。


 


 望んだ、

 わけでは、

 ない。


 


 だが、

 選んだ。


 


 守るために。


 


 この、

 現代という、

 世界を。


 


 そして――

 次なる、

 舞台は、

 国境を、

 越える。


 


 剣神の、

 物語は、

 今、

 世界編へと、

 進み始めた。

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