第21話 組織の影
九条との、
模擬戦から、
三日。
世間は、
さらに、
騒がしく、
なっていた。
剣神、
無傷で、
Aランクを、
撃破。
動画は、
編集され、
世界中に、
流れた。
称賛と、
同時に、
恐怖。
「人の、
力じゃ、
ない」
そんな、
言葉が、
踊る。
探索者育成学園。
さなえは、
教室の、
窓際に、
座っていた。
視線が、
痛い。
誰も、
近づかない。
だが、
完全に、
避けることも、
できない。
「……三橋」
羽柴とおるが、
声を、
かける。
「学園長が、
呼んでる」
「分かりました」
立ち上がると、
空気が、
動く。
廊下を、
歩くだけで、
ざわめきが、
広がる。
学園長室。
大森喜助と、
もう一人。
見慣れない、
スーツの男。
年齢、
四十前後。
目が、
鋭い。
「紹介しよう」
大森が、
言う。
「内閣、
危機管理局の、
桐生だ」
政府。
レーシャが、
小さく、
舌打ちする。
「……来たね」
「三橋さなえです」
丁寧に、
頭を、
下げる。
桐生は、
無表情で、
頷いた。
「率直に、
言います」
前置き、
なし。
「あなたの、
存在は、
国家安全保障上、
問題だ」
空気が、
張り詰める。
「強すぎる、
個人は、
統制が、
必要になる」
「……私は、
誰かを、
傷つけるために、
剣を、
振るっていません」
さなえは、
静かに、
返す。
「理解は、
している」
桐生は、
続ける。
「だが、
世界は、
理解だけでは、
動かない」
「あなたを、
狙う組織が、
動いている」
その言葉に、
大森が、
目を、
細める。
「……やはり、
か」
桐生は、
資料を、
机に、
置いた。
複数の、
写真。
地下施設。
武装した、
探索者。
「非公式、
探索者連合」
通称――
〈影縫い〉。
「国家にも、
属さず」
「財団にも、
従わない」
「目的は、
強者の、
排除」
さなえは、
息を、
飲む。
「剣神を、
危険因子と、
判断した」
「すでに、
複数の、
メンバーが、
国内に、
潜伏している」
沈黙。
重い。
「……保護、
ですか」
さなえが、
尋ねる。
「半分は、
そうだ」
桐生は、
即答する。
「もう半分は、
監視だ」
正直。
だが、
冷たい。
「私は……」
言葉を、
選ぶ。
「自由に、
剣を、
振るいたい」
「守るために」
桐生は、
数秒、
黙った。
「……その答えが、
聞けただけで、
今は、
十分だ」
立ち上がる。
「だが、
覚えておいて、
ください」
「あなたは、
もう、
一人では、
ない」
去り際。
振り返り、
一言。
「良くも、
悪くも」
学園長室を、
出た後。
廊下。
さなえは、
壁に、
手を、
ついた。
「……思ったより、
早い」
レーシャが、
言う。
「組織が、
本気で、
動き始めた」
「……でも」
さなえは、
前を、
向く。
「私は、
剣神です」
「逃げる、
理由は、
ありません」
その夜。
ギルド本部。
葛城あきらは、
通信を、
切った。
相手は、
海外支部。
「……〈影縫い〉か」
古い、
名前。
「剣神が、
現れた以上、
動かないはずが、
ない」
鷹宮が、
言う。
「問題は、
次の、
一手」
「個人か、
学園か」
葛城は、
答える。
「――ダンジョンだ」
「奴らは、
公の場で、
手を、
出さない」
「闇に、
紛れて、
来る」
その頃。
都内、
廃ビル。
暗闇の、
奥。
男たちが、
集まっていた。
九条を、
倒した、
剣神の、
映像が、
流れている。
「……美しい」
誰かが、
呟く。
「だからこそ、
壊す」
別の声。
中央の、
人物が、
立ち上がる。
「次は、
ダンジョンで、
会おう」
「剣神は、
戦場に、
立たねば、
意味が、
ない」
笑み。
歪んだ、
期待。
影は、
すでに、
動いていた。
それを、
知らずに。
さなえは、
自室で、
剣を、
磨いていた。
静かな、
夜。
だが、
嵐は、
近い。
剣神と、
世界。
その、
均衡が、
試される、
戦いが――
すぐ、
始まる。
それでも、
彼女は、
剣を、
置かない。
守ると、
決めた、
世界が、
そこに、
ある限り。
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