第19話 剣神公表、そして波紋
翌朝。
日本中の、
ニュースが、
一斉に、
同じ話題を、
流していた。
――湾岸異常ダンジョン、
完全消滅。
――被害者、
ゼロ。
――特別独立探索者、
三橋さなえ。
――剣神級、
正式認定。
画面の端に、
ぼかされた映像。
剣を持つ、
少女の、
後ろ姿。
「……ついに、
出ましたね」
病室の、
ベッドで、
さなえは、
天井を見ていた。
身体は、
問題ない。
だが、
表に、
出るわけには、
いかない。
「うん。
想定より、
早かった」
レーシャの声。
「国家としては、
隠せなかったね」
スマートフォンを、
手に取る。
通知が、
止まらない。
学園。
ギルド。
知らない番号。
「……全部、
後回しで」
電源を、
切る。
静かに、
息を吐いた。
数時間後。
探索者育成学園。
臨時集会が、
開かれていた。
体育館は、
満員。
生徒、
教職員、
関係者。
全員の、
視線が、
一点に、
集まっている。
壇上に、
立つのは、
大森喜助。
「……本日、
公表された、
件について」
ざわめき。
「三橋さなえは、
本学園の、
在校生だ」
一瞬、
静まり返る。
次の瞬間。
「えっ!?」
「本当か!?」
「同級生!?」
驚きと、
混乱。
羨望。
恐怖。
すべてが、
入り混じる。
「彼女は、
特別な存在だ」
大森は、
続ける。
「だが、
同時に、
一人の、
学生でもある」
「無用な、
接触や、
詮索は、
厳禁とする」
言葉は、
強い。
だが、
止められない。
人の、
好奇心は。
一方。
探索者ギルド。
会議室。
葛城あきらは、
資料を、
睨んでいた。
「……予想以上に、
荒れてるな」
世界各国の、
反応。
称賛。
警戒。
そして――
敵意。
「剣神は、
一人で、
世界の、
バランスを、
壊す」
そんな、
論調も、
ある。
「人間は、
強すぎる存在を、
許さない」
鷹宮が、
静かに、
言った。
「歴史が、
証明している」
葛城は、
黙って、
頷く。
「……だが、
放っておく、
わけにも、
いかん」
「彼女は、
剣を、
振るう理由を、
間違えない」
それだけは、
信じていた。
同じ頃。
都内、
とある、
地下施設。
薄暗い、
部屋。
そこに、
集まる、
数名の、
探索者。
全員、
上位。
「剣神、
だとさ」
一人が、
嘲るように、
笑う。
「女の子、
らしいじゃないか」
別の男が、
肩を、
すくめる。
「国家の、
犬だろ?」
「違う」
低い声が、
割って入る。
あの男だ。
湾岸で、
視線を、
向けていた人物。
「彼女は、
誰の、
支配下にも、
ない」
「だから、
危険だ」
部屋が、
静まる。
「剣神は、
世界に、
必要か?」
問い。
誰も、
即答できない。
男は、
立ち上がる。
「……確かめる」
「どうやって?」
「戦えば、
分かる」
その目は、
狂気と、
執着を、
帯びていた。
「剣神が、
本物かどうか」
話は、
戻る。
さなえの、
病室。
窓の外、
夕暮れ。
オレンジ色の、
光。
「……世界、
騒がしいですね」
「うん」
レーシャは、
苦笑する。
「でも、
想定内」
「剣神は、
希望で、
同時に、
不安」
「人は、
自分より、
強い存在を、
簡単には、
信じない」
さなえは、
剣を、
手に取った。
静かだ。
だが、
確かな、
重み。
「……だから、
剣で、
示すしか、
ない」
「うん」
レーシャは、
頷く。
「言葉より、
行動」
その時。
病室の、
扉が、
ノックされる。
入ってきたのは、
羽柴とおる。
若い担任。
だが、
表情は、
真剣だ。
「……三橋」
名前を、
呼ばれ、
顔を上げる。
「外が、
大変だ」
「君に、
会いたいって、
人が、
増えてる」
「敵も、
味方も」
さなえは、
小さく、
笑った。
「……そうですか」
怖くは、
ない。
覚悟は、
もう、
できている。
剣神が、
公になった。
それは、
終わりではない。
始まりだ。
三橋さなえは、
立ち上がる。
窓の外の、
世界を、
見つめる。
ここは、
守るべき、
場所。
たとえ、
世界が、
敵に、
なろうとも。
剣を、
守るために、
振るう。
その意志は、
揺るがない。
そして、
次なる、
波紋は――
すでに、
動き出していた。
それが、
試練か、
戦争か。
まだ、
誰にも、
分からない。
だが、
剣神は、
歩みを、
止めない。
世界が、
どう、
応えようとも。
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