第3話 謀略
一方、ワシントンD.C.のオーバルオフィス。
アメリカ大統領トーマス=ハリソンは、首席補佐官から海東民国の動向を聞き、忌々しそうに葉巻を灰皿に押し付けた。
「台の野郎、中国と手を組んだか。石油メジャーが黙っていないぞ」
「はい、大統領。すでに海東民国への投資計画を立てていた連中が、議会に圧力をかけています。放っておけば、我が国の資源安全保障に傷がつきます」
ハリソンは窓の外を見つめ、冷淡に命じた。
「デルタフォースを動かせ。海兵隊もだ。『民主主義の危機』を理由にする。あの独裁政権が国民を虐げ、資源を不当に独占しているというストーリーを作れ。野党の陽健洋という男はどうだ?」
「清廉ですが、少々理想主義が過ぎますな」
「都合がいい。まずは彼を『解放の旗印』に担ぎ上げろ。後のことは、台を追い出してから考えればいい」
富を強奪するためのアメリカの「お家芸」が発動されようとしていた。
”偽りの”自由と民主主義は、汎ゆるモノを強欲に飲み込むリバァイアサンそのものだった。
一方、台永良は側近の高級官僚である大統領補佐官の満晩明(まんばんめい)と打ち合わせを行った。
「満よ、中国がカネを持ってきてくれるぞ、どう使う?」
晩明はニヤニヤしながら答える。
「そうですな、官邸や官庁も老朽化しておりますが、その辺りは、中南海に任せるとして、まぁ、我々の懐に入れてしまうのがよろしいかと。」
この満晩明は汚職官僚の雛形の様な人物で、不正蓄財を長年行なってきた。
「満君、これは国家のためだ。国家は強くなければならない。それにはまず、国家の指導者が力を蓄えねばならんよ。」
「もちろんです、閣下。愛国心は尊い。しかし、無償ではありません。」
満が答えると、台大統領は「ここだけの話」といった具合に満に尋ねる。
「ところでだ…、君は確か、スイスとケイマンに口座があるだろう?幾ら蓄えた?」
台がそう言うと、二人は顔を見合わせて、ゲラゲラと大笑いした。
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