第5話 市はすぐには対応しない。
風が、思ったより鋭く顔を打った。
エリリアが最初に立ち止まった。中層と、より開けた段々の境目で、そこでは街が再び自由に息をし始めた。ほとんど物理的な感覚だった。まるでアエルカルンが、短い息止めのあとに深く息を吸い込んだかのように。
「こういう任務は嫌いだ」モルウェンがフードを引き下ろしながら息を吐いた。「全部正しくやったはずなのに、内側には、ただ通り過ぎただけみたいな感覚が残る」
エイリンは少し後ろを歩いていた。顔は落ち着いているが、肩は普段より強く緊張していた。
「通り過ぎてない」彼女は言った。「私たちは、引き裂かれる場所に踏み込まないために十分見た」
モルウェンが鼻で鳴らした。
「合理的だ。落ち着かない」
エリリアは振り向かなかった。前を見ていた。屋根がまた明るくなり、ギルドの旗が視界に戻ってくるほうを。
「街はすぐには叫ばない」彼女は言った。「まず確かめる。誰が囁きを聞くかを」
彼らはさらに数分、黙って歩いた。周りの人々は彼らに注意を向けなかった。同じような外套の三つの影は、何十という同じ影の中の一つだった。だがエリリアは視線を感じた。正面からではない。あまりに慎重な視線だ。
「尾けられてはいない」モルウェンが小さく言った。「でも、覚えられた」
「想定通り」エリリアが答えた。「私たちは痕を残した」
「本当にマーカーが必要だった?」エイリンが尋ねた。
エリリアは短く頷いた。
「単独の仕事なら、彼らが見る。そうでないなら、他人の歩みを数えるのに慣れた者が見る」
「緋色のバランス?」モルウェンはその名を、嘲りなしに口にした。
「かもしれない」エリリアが言った。「あるいは、緋色のバランスに反応させたい誰か」
エイリンが眉をひそめた。
「それは、もっと悪い」
「そう」エリリアは同意した。「でも、それはもう私たちの担当じゃない」
ギルドの塔が建物の間に見えてくると、緊張は少し弱まった。消えはしない。ただ、扱えるものになった。「クライ・ネバ」では余計な質問はあまりしない。ここでは感情より報告が価値だった。だがそれは、感情がないという意味ではない。
中は騒がしかった。早く戻った者もいれば、これから出る者もいる。金属の匂い、薬草、熱い茶。生きている場所。
「早いな」包帯を巻いた腕で通りすがりにカイザーが言った。「つまり、全部ひどいか、君たちがとても賢いかだ」
「あるいは両方」モルウェンが答えた。
カイザーはニヤリとしたが、視線を止めた。
「ライナーは上だ」
彼らは急がずに上がった。エリリアが先頭だった。
ライナーは黙って聞いた。遮らない。彼女が終えるまで質問しない。顔は落ち着いたままだったが、エリリアがマンホールと下層境界に触れたとき、指が手すりをわずかに強く掴んだ。
「越えてない」彼女は結んだ。「記録した。印を付けた」
「正しい」ライナーが言った。「君たちは全部正しくやった」
モルウェンが視線を外した。
「そうは感じない」
ライナーは彼をまっすぐ見た。
「それは、君たちが任務ではなく過程にぶつかったということだ。こういうものは、完了感をくれることが少ない」
彼は少し黙った。
「情報は上に回す。今は動かない。だが君たち――」彼の視線がエイリンで止まった。「戻る準備はしておけ」
エイリンが頷いた。
「私はもう、あの場所を手放してない」
彼らが出ると、緊張はようやく裂けた。
「『準備しろ』が大嫌いだ」モルウェンが壁にもたれた。「『眠るな、でも起きるな』みたいなもんだ」
エイリンが短く、ほとんど見えない笑みを浮かべた。
「今日はよく喋るね」
「つまり、 нервничаю ってことだ」彼は正直に答えた。「普段は、全部が悪い時は黙る」
彼女は以前より注意深く彼を見た。
「なら、たぶん全部はそんなに悪くない」
モルウェンは何か言い返そうとしたが、そのとき下から物音がした。叫びではない。鋭く、途切れる音。次に二つ目。
エリリアはもう手すりへ行っていた。
「私たちの担当じゃない」彼女は言ったが、声は硬くなった。「誰が戻った?」
「アクセルとマリッサは北へ行った」下の誰かが答えた。「でも……」
「でも」が空中に残った。
エリリアが背筋を伸ばした。
「連絡は?」
「途切れる」答えが返った。
モルウェンが歯の間から罵った。
「ほらな。こうなる」
エイリンは、冷えがまた皮膚の下のどこかから立ち上がるのを感じた。魔術ではない。反応だ。
「街が加速してる」彼女は言った。「感じる?」
エリリアが頷いた。
「ええ」
どこか遠く、彼らの視界の外で、アエルカルンは次の一歩を踏み出していた。鋭くない。大きくもない。だがもう試しではない。
そして今度は、囁きだけで済ませるつもりはなかった。
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