第3話

「何だってBランクの香織かおりがこんな依頼を受けんだよ?」


「さあ、何かあった時の為じゃね?

 一応未確認エリアだからな、お前は良く知っているだろ?


 未確認エリアで、その階層じゃ出る訳がねえ魔物が出て来て、エラい被害が出たのをよ?」


「……お父さん、お母さん……」


「嗚呼、知っている。


 ――だからか!

 俺の嫌な予感の正体はそれだっ!

 香織が危ない、止めないと!」


「バカヤロウ!

 んな事出来る訳ねえだろ!

 迷宮ダンジョンに潜るって事は何奴も此奴も危険を承知で潜ってんだよ!


 それを『危ないから潜るな』って言うのか? それは俺達冒険者が一番言っちゃいけねえし、言われたくない言葉だろうが!


 それによ、花室はなむろはもう仕事として受けちまったんだよ。

 それを止めるって事は結構な違約金だって発生するに決まってんだろが!

 もう遅いんだよ、もう手遅れなんだよ!」


「でも! 本当にヤバいんだよ!

 何がどうヤバいか解んねえけど、ヤバいんだよ!」


「とは言え、私達じゃ下手に手を出した所で足手纏いになるだけだろう?」


「そんな事は言われなくても解ってんだよ、藤吾とうご! それでも俺はっ!」


「正直、優樹ゆうき兄さんがヤバいって言うって事は、相当な事だと思うんだけど、そんな所に花室さんが……どうしよう……どうしたら良い?」


「優樹、お前がこれから言おうとしてる事はオレには解るぞ? 長い付き合いだからよ?


 だが、敢えて言うぞ?


 冒険者は自己責任なんだよ、ほっとけ!


 オレは花室の危険よりお前達の安全の方が大事だっ! 勿論、オレの命もな!?


 お前がそこまでヤバいって言うなら尚更だ!


 オレ達が行った所で手も足も出ねぇに決まってる! そうなりゃ、無駄死にだっ!

最悪、オレ達が全員死んで花室が助かるなら、まだ意味はあるかも知れねえ。


 けど、きっとそうはならねえ!


 だったら、オレはお前が行くって言うなら死んでも止めてやんよ?」


燈里とうり……お前、俺達の事をそんなにも想ってくれてたんだな……いや、解っていたさ。


 何時もお前は俺達の為に懸命に動いてくれてたもんな、本当にありがとう、感謝してる『なら!』でも、ダメなんだよ、ここで香織を見捨てたら、ダメなんだよ!


 俺の香織への気持ちだけの問題じゃないんだよ!


 ここで引いたら、俺達絶対に後悔する! 


 後悔するだけじゃない! 冒険者として終わってしまう気がするんだよ!」


「それは、お前の勘か? 優樹?」


「ああそうだ、藤吾」


「ふむ、なら行くしかないだろう」

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