第2話

「力を手に入れる為に慎重になるのもいいけど、いい加減この宿からも出たいよな?

 いつまでもお前と一緒の部屋って言うのもなあ」


「なんだ? オレの人脈で格安で泊めてもらってんのに文句でもあんのか?」


「あっ燈里とうりさん、おかえりー」


「雨宿り、おかえり」


「てめえ、その呼び方止めろって言ってんだろ? オレの名前は雨夜あまや 燈里とうりだって言ってんだろ?

 いい加減、追い出すぞ?」


「ハハ、悪かったって。

 で、何か良い仕事でもあったのか?」


「まあな、百海どうかいが戻ったら、話す」


「そうか、じゃあ待ってる間にその手に持ってるのでも食いながら待とうぜ」


「ノヤロ! 図々しい奴め!

 チッ、ほらよっ」


「お、ありがとな! ほれ半分食え、りん


「まったくもう……燈里さん、何時も兄が済みません」


「凛は気にしなくていい。 こいつとは一度どっかで話を付けてやるからよ!」


「んな事を言いながらも、ちゃんと俺達の分も買って来てくれる、優しい燈里だったってか?」


「んのやろう!」


「お、喧嘩か? お前達は何時も仲が良いな!」


「どこがだ、百海!」


「俺達仲良しだぞ、流石藤吾とうご解ってるな?」


「んの野郎……面倒臭え! 覚えてろ!」


「そうだろ、そうだろ!

 仲が良い事は良い事だ!


 で、雨夜? 良い仕事はあったか?」


「チッ 嗚呼、あったぜ。

 オレ達でいけそうなのは二つ。


 一つ目は、いつもの薬草の魔石を持ち帰る事。


 二つ目は、三階層で見付かった未確認エリアの探索だ。


 ギルドの情報じゃ、未確認って言っても既に何組が入っていて、出る魔物も、いつもの三階層の魔物と同じらしい。


 で、なんで既に人が入っている所を探索するかって言うと、地図や罠等を何組かで確かめてぇって訳だ。


 恐らく、いつも潜っている二倍程度の時間は潜る必要はあるが、報酬はいつもの四倍の一人、四十万だ! いい仕事だと思わねえか?」


「うーん、いつもの二倍程度潜るのはいいよ? ダンジョン内で寝る事だって何度もあるし。 ……でも、話が美味し過ぎない?」


「凛が言う通り、ちょっと美味し過ぎるな?」


「ん? 何時も血気盛んな優樹ゆうきしては珍しいな? 何か悪い物でも食ったか?」


「んな訳ねえだろ、藤吾!


 確かに俺達もいつか本当の意味で冒険をしないといけない時が来ると思うけどよ……。


 正直これさ、なんか嫌な予感がするって言うか、こう、なんて言ったら良いか解んねえんだけど、ゾワゾワすんだよ」


「ふむ、こう言う時の優樹の勘は当たるからな、折角情報を仕入れてもらった雨夜には悪いが私も反対だ」


「ったく、仕方がねえな。

 凛が怪しんで、優樹の勘が止めとけって言ってて、リーダーの百海が反対なら、受ける訳にいかねえだろ?


 まあ、オレの仕事は情報を仕入れて来る事だからよ、それを皆で話してダメならそれで良いさ。


 にしても残念だったな、優樹?


 この依頼、花室はなむろも受けるらしいぞ?」


「は?」

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